食事療法における基礎知識!症状別の食事療法やポイントを紹介!
食事療法を考えている人の中には、健康診断などで「高血圧」「脂肪肝」などの注意を受けたり、日常生活の中で身体の不調を感じたりした事をきっかけにする人も少なくありません。ですが、いざ食事療法をしようと思っても具体的なやり方がわからず、トレーナーに依頼することを検討する人も増えています。
健康維持のサポートに携わるトレーナーにとって、食事療法の基礎知識や症状に合わせたメニューの考案などは必須です。そこで今回は、食事療法の基礎知識や症状別の食事療法についてご紹介します。
食事療法をおこなう意味
食事療法が身体に良い事はいうまでもありませんが、即効性が低いため具体的な効果を感じられずに挫折してしまう人も少なくありません。食事療法を成功に導くためには、「何のために食事療法を取り入れるのか」という意味をしっかりと確認する必要があります。
ここでは、健康維持のために食事療法をおこなう意味や食事療法によって期待できる効果などについて詳しく解説します。
食事療法の意味
食事療法とは、摂取する食べ物のカロリーや栄養のバランスを考えてメニューを決める療法です。健康を保つには「バランスのいい食事」「十分な休養」「適度な運動」が重要とされていますが、その中でも食事は身体の機能や組織を健やかに保つために欠かせない行為で、生命の源ともいわれています。
食事内容の偏りは高血圧や糖尿病などの生活習慣病をまねく原因になるだけでなく、逆流性食道炎など内臓の不調を引き起こしかねません。食事療法によって食事の偏りを正してバランスを取り戻せば、病気や不調の要因を減らす効果も期待できるでしょう。
食事療法の具体的な効果
食事療法の主な効果は、栄養バランスを整える事で肥満による肝脂肪などの生活習慣病を未然に防ぎ、心臓病などの病気を発生させない事です。食事療法と運動療法をかけ合わせる事で現在かかっている病気の悪化を防いだり、より健康的な毎日をサポートしたりする効果も期待できるでしょう。
さらに、食事療法によって身体の機能が円滑になると薬の効き目が効果的に発揮されやすくなり、症状の改善や緩和にも役立ちます。
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食事療法をおこなう際のポイント
ここでは、食事療法をおこなう際に気をつけたいポイントをまとめます。健康管理を任されるトレーナーには必須の知識なので、しっかりと身につけましょう。
適切な摂取カロリー
食事療法をおこなう際に必ず意識したいのが、個人に合わせた摂取カロリーです。一般的な成人男性の場合、1日の摂取カロリーは基本的に「2,400~3,000kcal」の範囲内に収まりますが、身長や体重だけではなく「活動量」によっても適切なカロリーに差が生じます。
トレーナーとして活動する場合は、個人に合わせた摂取カロリーを適切に計算し、摂取量がオーバーしないように指導するスキルが求められます。
栄養バランスの取れた食事
食事療法をおこなう際は1日の摂取カロリーの許容量を超えないように注意するだけではなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂取する必要があります。食事バランスが乱れやすい人の中には「炭水化物ばかり摂取してしまう」「たんぱく質が足りない」「ビタミンやミネラルがほとんど摂取できていない」などのトラブルを抱えている人も少なくありません。
たとえ1日に必要な摂取カロリーをクリアできていたとしても、栄養バランスが偏っていれば食事療法の効果も得られにくくなってしまいます。栄養バランスを整えるためには「1日30品目以上食べる事」が理想的とされているため、さまざまな食材を万遍なく食べるように意識してみましょう。
規則正しい食事習慣
食事療法を成功に導くポイントは、規則正しい食事習慣を身につける事です。1日3回「朝・昼・晩」の食事を規則正しく食べる事で、血糖値を安定させて膵臓の負担を軽減させる事もできます。
不規則な食事習慣は間食などにもつながりやすく、偏食気味になってしまったり栄養不足に陥ってしまったりする可能性も高めてしまいます。さらに、睡眠の質も低下させてしまう恐れがあるため、睡眠中におこなわれるはずの細胞の修復などが効率よく進まない事もあります。
規則正しい食事習慣は体内の臓器をサポートする大切な役目を担っているため、その重要性をしっかりと伝える事が欠かせません。
食事療法で役立つカロリー計算方法
1日に必要な摂取カロリー量は「基礎代謝基準値×生活活動指数×体重」によって算出できます。
以下に基礎代謝基準値と生活活動指数を記載するので、自分が1日にどのくらいのカロリーを必要としているのか計算してみましょう。
【基礎代謝基準値】
年齢 | 男性 | 女性 |
18〜29 | 24.0 | 23.6 |
30〜49 | 22.3 | 21.7 |
50〜69 | 21.5 | 20.7 |
70〜 |
21.5 |
20.7 |
【生活活動指数】
1.3 | 生活のほとんどを座って過ごし、活動量が少ない人。家事による立ち仕事も少なく、静的な日常。 |
1.5 | 座り仕事中心の生活だが、移動や立位での作業があり、通勤や家事などによって身体を動かす機会もある。 |
1.7 | 軽度の肉体労働や、60分以上の運動を週に5日以上おこなっている。 |
1.9 | 重量物の持ち運びや重度の肉体労働、60分以上の激しい運動を週5日以上おこなっている。 |
【例1:35歳男性、鉄工所で加工業に従事している。体重は68kg。】
基礎代謝基準値「22.3」×生活活動指数「1.7」×体重「68」=約2578kcal
【例2:75歳女性、無職のため1日の大半を座って過ごしている。体重は45kg。】
基礎代謝基準値「20.7」×生活活動指数「1.3」×体重「45」=約1211kcal
上記の例で示したように、年齢や性別・活動量によって1日に必要な摂取カロリーには大きな差が生じる事も珍しくありません。
特に体重や活動量のボリュームは1日の目安摂取カロリーに大きな影響を与えるため、できる限り現実に近い値を求める必要があるでしょう。
【症状別】食事療法のやり方
食事療法は個人によって異なる「年齢」「体重」「活動量」を求めなければなりませんが、それと同じくらい大切なのが「症状に合わせたカロリー計算」「症状に合わせた栄養バランスの考案」です。
ここでは主だった例として、高血圧・糖尿病・逆流性食道炎の食事療法をご紹介します。
高血圧の食事療法
高血圧の場合は、一般的に塩分を摂取しすぎていたり、アルコールの摂取量が多かったりする傾向があります。そのため、高血圧を緩和させるためには「減塩」「バランスの良い食事」が大切になってくるでしょう。
体内に溜まってしまった塩分を排出する働きのある「カリウム」を補給する事で体内の塩分量を調節できるため、カリウムを多く含む食材を積極的に使用するのもオススメです。もちろん、アルコールの摂取も控えるように指導する事も忘れずに。
糖尿病の食事療法
糖尿病患者の多くは、糖を過剰に摂取する傾向があります。一口に「糖」といっても、その種類はさまざまです。米や小麦などの炭水化物も糖ですし、砂糖も糖質です。アルコールも種類によっては大量の糖が含まれている事があります。
糖尿病の食事療法を成功に導くためには、まずはどのような糖を過剰に摂取する傾向があるのかを知り、バランスの良い食事に整えていく事が大切です。そして、血糖値の上昇を防ぐために甘いものやアルコールを控え、血糖値を下げる働きのある食物繊維を積極的に摂取する必要があります。
逆流性食道炎の食事療法
逆流性食道炎の場合は、胃酸を逆流させる恐れがある「脂肪分の多い食べ物」「刺激の強い食べ物」を控えるようにします。「香辛料」「カフェイン」「熱い飲み物や食べ物」なども食道や胃の粘膜に負担をかける可能性が高いため、摂取量に注意するかできるだけ控えるようにしたほうがいいでしょう。
なお、食事療法とは別に「喫煙」「食後すぐに横になる」などの習慣は逆流性食道炎の症状を悪化させる可能性がある事も覚えておいてください。
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まとめ
食事療法をおこなう際は、年齢や体重・活動量に合わせて1日の必要摂取カロリーを計算し、それを超えないような食事内容を考える必要があります。
トレーナーとして大切な事は、バランスのいい食事を考案したり規則正しい食事習慣をアドバイスしたりする事です。そうする事で食事療法を成功に導く事ができます。食事療法がしっかり成果が出るように知識をしっかり身につけていきましょう。