AT(アスレチックトレーナー)とCSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)の違いを解説!

AT(アスレチックトレーナー)とCSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)は、いずれもアスリートのコンディション調整などのサポートをおこないます。しかし、役割が似ている分、両者の違いがわからない人も多いでしょう。

そこでこの記事では、アスレチックトレーナーとCSCSを詳しく解説し、2つの違いを見ていきます。特に、アスリートのコンディション調整に関わる仕事がしたい人、どのような資格を取れば良いのか悩んでいる人は、ぜひ目を通してみてください。

AT(アスレチックトレーナー)とは?

AT(アスレチックトレーナー)は、アスリートの健康管理、ケガへの処置・予防、コンディショニングをおこなう仕事です。

性質上、医学知識やトレーナーとしての専門知識が必須とされます。アスリートにとっては自分と一緒に戦う存在でもあるため、選手からの信頼を得る事も重要です。

アスレチックトレーナーの仕事内容

アスレチックトレーナーのおもな仕事内容は、アスリートが負ったケガや故障への対応です。ケガの程度に合わせて必要な処置をおこないます。

アスレチックトレーナーは医師ではないため、基本的に応急処置以上の医療処置はおこないません。ただし、応急処置をおこなったあと、救急車を呼んだりケガの情報を医師に伝達したりする事も仕事の一部です。その後の診断結果の説明など、医師とアスリートをつなぐのも、アスレチックトレーナーの役割です。

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CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)とは?

CSCSとは「Certified Strength and Conditioning Specialist(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)」の頭文字を取った略称です。このあとに紹介する、NSCAが認定している資格の一つを指します。

NSCAとは?

NSCAとは「National Strength and Conditioning Association(全米ストレングス&コンディショニング協会)」の略称であり、1978年に設立されたアメリカ・コロラド州に本部を持つ国際的な教育団体です。

スポーツパフォーマンスとフィットネス向上を目的とした、トレーニングとコンディショニングの活用を目標に活動しています。88か国の地域で活動をおこなっており、日本法人(NSCAジャパン)もあります。

CSCS

NSCAには、日本語に対応したトレーナーの資格にCSCSとNSCA-CPT(NSCA Certified Personal Trainer)の2種類があります。

NSCA-CPTは健康と体力のニーズに応えるパーソナルトレーナーの資格である事に対し、CSCSはケガの予防やスポーツパフォーマンスの向上など、アスリートやスポーツチームを指導対象として定められた資格です。CSCSはトレーニングプログラムを提案・実行できる、知識とスキルを有する人材である事を認定します。

CSCSを取得すると、筋力トレーニングや体力面・生活面に関して指導するスキルのほかに、施設を運営・管理するスキルも身につけられます。教育者的な側面があり、より高いレベルの知識・技術を身につけたいスポーツトレーナーがおもに取得する資格です。

CSCSを取得すれば、スポーツトレーナーとしての信頼性が高まり、活躍の場が広がるでしょう。

ATとCSCSの違いは?

この記事の冒頭で少し触れたとおり、アスレチックトレーナーとCSCSはいずれもアスリートのサポートをおこないますが、両者の役割には次のような違いがあります。

  • アスレチックトレーナーは、おもにアスリートのケガに対する処置をおこなう
  • CSCSは、スポーツのパフォーマンス向上やケガ防止のためのトレーニングの提案・実施をおこなう

つまりは、アスレチックトレーナーがケガに対する専門職であるのに対し、CSCSはトレーニング・生活習慣の指導など、アスリートを全般的に支える人材であるといえます。

ATとCSCSの資格概要

アスレチックトレーナーとCSCSの資格を詳しく見ていきます。

ATの資格概要

アスレチックトレーナーには、おもに3つの資格があります。各資格の内容を簡単に見ていきましょう。

  • JSPO-AT(旧JASA-AT)

JSPO-AT(旧JASA-AT)は、日本スポーツ協会(JSPO)の公認アスレティックトレーナーです。JSPO-ATの試験を受けるためには、JSPOや加盟団体が主催する養成講習会の受講か、免除適応コース承認校の卒業が必要になります。

なお、養成講習会を受講するには、次の4つの条件を満たさなければなりません。

  • 受講する年の4月1日時点で満20歳以上であり、JSPO・JSPO加盟団体(都道府県体育・スポーツ協会・中央競技団体など)・JSPOが特に認める国内統轄競技団体から推薦され、受講者選考基準を満たす人
  • 講習の受講に支障がない健康な人
  • 受講有効期間内に講習の全日程に参加できる人
  • 受講内定後に、インターネットサービスの「指導者マイページ」から申込みができる人

関連団体の推薦を得るには、関連団体でアスレチックトレーナーとしての活動実績を積まなければいけません。活動実績が乏しいと、推薦を得るのは難しくなります。養成講習会の受講人数にも定員100名程度と限りがあるため、敷居は高いでしょう。

そのため、多くの場合、免除適応コース承認校の卒業を目指します。JSPO-ATは難易度の高い資格として知られており、合格率は10%以下ともいわれています。

  • JATAC-ATC

JATAC-ATCは、ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会の認定アスレチックトレーナーです。おもに柔道整復師・理学療法士・作業療法士・看護師・はり師・きゅう師などの国家資格取得者向けの資格といえます。

JATAC-ATCの資格取得には試験があるわけではなく、単位の取得のみが認定条件です。
国家資格の取得者は、JATAC認定のスポーツ科学分野の講習で4領域69単位を取得すれば、JATAC-ATCの資格を得る事ができます。

<スポーツ科学分野の必要単位>

領域 必要単位
スポーツ医学系 16
スポーツ科学系A 34
スポーツ科学系B 7
研究討議 12

国家資格を取得していなくても、資格の取得は可能です。2年制以上の専門学校・大学・大学院のスポーツ科学系コース卒業生であれば、JATAC認定のスポーツ科学分野の4領域69単位に加え、臨床医学系専門科目の単位を取得する事で資格を得られます。

JSPO-AT、もしくはNATA-ATCの資格取得者であれば、4領域69単位を取得する必要はありません。JATACの正会員に登録するだけで、JATAC-ATCの認定証を得る事ができます。

  • BOC-ATC

上記の2つの資格が日本の資格であるのに対し、NATA公認アスレティックトレーナー、通称BOC-ATCはアメリカの国家資格です。BOC-ATCは、教育訓練・州法・規制・規則に従って医師の指示・協力を得ながら、治療・サービスを提供する準医療従事者です。

BOC-ATCの資格を取得するには、国家試験のBOC認定試験を受ける必要があります。

BOC認定試験を受験するには、CAATE(アスレティックトレーニング教育認定委員会)が認定した大学の養成カリキュラムを受け、学士を取得しなければなりません。留学も可能なため、日本人でも資格を取る事ができます。

CSCSの資格概要

CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)とは、NSCAが認定している資格の一つです。

次の5つが資格認定条件となります。

  1. NSCAジャパン会員(正会員・学生会員・英文会員)
  2. 学位(学士・修士・博士)取得者、もしくは高度専門士の称号保持者
  3. AED/CPRの認定者
  4. CSCS認定試験の基礎科学セクションに合格
  5. CSCS認定試験の実践/応用セレクションに合格

試験分野は基礎科学セクションと実践/応用セクションの2つに分かれ、試験時間は前者が90分、後者が150分となっています。

試験の合否はセクションごとに判定され、スケールド・スコア70以上で合格です。スケールド・スコアとは得点調整後の正答率で、難易度が異なる試験問題を統計的に同等のものになるように調整したものです。

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まとめ

AT(アスレチックトレーナー)とCSCSは、いずれもアスリートのサポートをおこなうという点では同様です。

しかし、求められる役割に違いがあります。アスレチックトレーナーのおもな役割はアスリートのケガへの対処であり、CSCSの役割はトレーニングや生活習慣の指導など、幅広くアスリートをサポートする事です。

アスレチックトレーナーに関連する資格とCSCSの運用団体も異なり、その資格内容も大きく違います。自分の今の仕事や、将来のビジョンに合った資格を選ぶと良いでしょう。

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