NSCA-CSCSとNSCA-CPTの違いとは?資格概要や取得難易度を比較してみた!

パーソナルトレーナーの資格として知られるNSCA-CSCSとNSCA-CPTは、いずれもNSCAが認定している資格です。

しかし、同じ団体が発行する認定資格であるため、両資格の違いがわからない人もいるかもしれません。特に、パーソナルトレーナーになりたいと考えている人にとっては、どちらの資格を取得すべきなのか悩みどころでしょう。

そこでこの記事では、

・NSCA-CSCSとNSCA-CPTの違い
・資格の概要
・試験の内容

などを詳しく解説していきます。

NSCAとは?

NSCA-CSCSとNSCA-CPTの違いに触れる前に、まずは2つの資格を認定しているNSCAを簡単に紹介します。

以下の項にて、

・NSCAとは
・NSCAジャパンとは
・NSCA認定資格とは

の3点について解説します。

NSCAとは?

NSCA-CSCSとNSCA-CPTを認定するNSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)とは「National Strength and Conditioning Association」から頭文字を取った略称であり、アメリカのコロラド州に本部を置く、国際的な教育団体です。

発足は1978年で、当時からストレングストレーニングとコンディショニングに関する教育を目的とした団体として活動を続けており、現在では世界88の国・地域が参加しています。

同団体は、最先端のトレーニングに関する研究や会員ネットワークを利用した情報の収集、それらにより得られた情報・知識の発表などを精力的に実施しております。

その他の事業の一環として、NSCAが認定する資格試験も実施しており、合格者には認定資格の発行を実施しています

NSCAジャパンとは?

NSCAの支部は世界中にあり、日本のNSCAジャパンもその1つです。

NSCAジャパンの設立は1991年で、当時より「研究に裏づけられたストレングスとコンディショニングに関する知識を普及させ、老若男女問わずすべての人々の健康増進とアスリートの競技力向上・傷害予防の支援」を使命として活動をおこなっています。

NSCA-CSCSやNSCA-CPTの試験を日本語で実施する事も、NSCAジャパンがおこなっています。そのほかにも専用施設の開業・国際カンファレンスの開催・会員向け機関紙の配布、といった活動を実施しています。

NSCA認定資格とは?

NSCAが実施している認定資格は、NCCA(全米資格認定委員会)の承認を受けており、国際的にも信頼性が高いといえます。

2018年時点で資格所得者は全世界で46,000名を超え、トレーニング系の資格として普及しています。

NSCAの認定資格には先述の通り以下2つの種類があります。

  • NSCA-CSCS:認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
  • NSCA-CPT:NSCA認定パーソナルトレーナー

NSCA-CSCSは、1985年にアスリートやスポーツチームへ安全で効率的なトレーニングプログラムを提供するために設立されました。

その後フィットネス業界の成長にともない、1993年にCPTの資格も設立されています。

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NSCA-CSCSとNSCA-CPTの資格内容の違いとは?

次に、NSCA-CSCSとNSCA-CPTそれぞれの資格の趣旨・受験要項などの違いを詳しくご紹介します。

資格名 目的・概要 資格取得の要件
NSCA-CSCS スポーツパフォーマンスの向上と傷害予防を目的とし、
安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行できる
NSCAジャパン会員である
学位(学士・修士・博士)取得者、もしくは高度専門士の称号保持者
NSCA-CSCS認定試験の基礎科学セクションに合格
NSCA-CSCS認定試験の実践/応用セクションに合格
有効なAED/CPRの認定者
NSCA-CPT 健康と体力のニーズに関する動機づけ・評価・教育・
トレーニング・コンディショニング全般の指導をおこなう
NSCAジャパン会員である
高等学校卒業者もしくは高等学校卒業程度認定試験合格者
満18歳以上
NSCA-CPT認定試験に合格
有効なAED/CPRの認定者

NSCA-CSCSの概要

NACA-CSCSは、スポーツパフォーマンスの向上と傷害予防を目的とし、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行できるような、知識と技術を持つ人材を認定する資格です。

主に、アスリートやスポーツチームを指導対象として想定しており、競技的な指導に焦点を合わせた資格といえるでしょう。

資格取得の要件には、次の5つがあります。

  • NSCAジャパン会員である
  • 学位(学士・修士・博士)取得者、もしくは高度専門士の称号保持者
  • CSCS認定試験の基礎科学セクションに合格
  • CSCS認定試験の実践/応用セクションに合格
  • 有効なAED/CPRの認定者

上記の条件をすべて満たした人のみ、CSCSの資格を得る事ができます。
ちなみに、有効なAED/CPRの認定基準者とは、以下2つの条件を満たすものを指します。

  • 傷病者の対象が成人である事
  • 講習会に実技評価が含まれている事

NSCA-CPTの概要

NSCA-CPTは、健康と体力のニーズに関する動機づけ・評価・教育・トレーニング・コンディショニング全般の指導をおこなう、優れたスキルを持つ人を認定する資格です。

NSCA-CSCSとは異なり、指導対象はアスリートだけでなく、一般の施設利用者など幅広い層を想定しています。より普遍的なトレーニングの指導技術が問われる資格といえるでしょう。

資格取得の要件には、次の5つがあります。

  • NSCAジャパン会員である
  • 高等学校卒業者もしくは高等学校卒業程度認定試験(旧:大学入学検定試験)合格者
  • 満18歳以上
  • NSCA-CPT認定試験に合格
  • 有効なAED/CPRの認定者

資格取得には、上記のすべての要件を満たす必要があります。AED/CPRの認定基準はNSCA-CSCSと同じです。

NSCA-CSCSとNSCA-CPTとの試験内容・難易度の違いとは?

続いて、受験する際に気になる

・試験概要
・試験の難易度

について、NSCA-CSCSとNSCA-CPTそれぞれ解説していきます。

資格名 試験概要 合格率
NSCA-CSCS 試験時間:基礎科学セクション(90分)
実践/応用セクション(150分)
問題形式:3択式
受験方法:オンライン形式
合格率:47.7%(2019年度実績)
NSCA-CPT 試験時間:NSCA-CPT認定試験(180分)
問題形式:3択式
受験方法:オンライン形式
合格率:78.9%(2019年度実績)

 

NSCA-CSCSの試験概要と難易度

NSCA-CSCSの試験は「基礎科学セクション」と「実践/応用セクション」の2つに分けておこなわれます。

<CSCS試験概要>

  • 試験時間:基礎科学セクション(90分)
    実践/応用セクション(150分)
  • 問題形式:3択式
  • 受験方法:オンライン形式
  • 合格率:47.7%(2019年度実績)

基礎科学セクションでは、解剖生理学や心理学などが含まれる「エクササイズサイエンス」や、食品やサプリメントに関する知識が問われる「栄養学」などが出題されます。

一方、実践/応用セクションでは、適切なプログラムを作るための知識が問われる「プログラムデザイン」や、施設の運営方法・法的責任リスクを抑える方法などを問われる「組織と運営」などが出題されます。

試験は、テストセンターのコンピューターを使って解答するコンピューターベースでおこなわれ、3つの選択肢から答えを選ぶ3択式で出題されます。

2019年度の合格率は47.7%であり、受験者の約半数が不合格となっている事がわかります。試験の出題範囲が広いうえに、基礎科学セクション・実践/応用セクションの両方に合格しなければならないため、難易度は比較的高いといえるでしょう。

NSCA-CPTの試験概要と難易度

NSCA-CPTの試験は、認定試験のみのセクションでおこなわれます。

NSCA-CPT試験概要

  • 試験時間:NSCA-CPT認定試験(180分)
  • 問題形式:3択式
  • 受験方法:オンライン形式
  • 合格率:78.9%(2019年度実績)

CPTでは、ストレッチ・有酸素トレーニングなど、さまざまなエクササイズに関する知識を問われる「エクササイズテクニック」、クライアントのニーズに沿ったプログラムを組むための知識が問われる「プログラムプランニング」などが出題されます。

受講方法・問題形式はCSCSと同じです。
2019年度の合格率は78.9%となっており、NSCA-CSCSと比べると難易度は低いといえるでしょう。

だからといって、NSCA-CSCSがCPTの上位資格というわけではありません。NSCA-CSCSのみを取得し、NSCA-CPTを持っていない人もいるように、両者はそれぞれ役割の違う資格なのです。

NSCA-CSCSとNSCA-CPTとの学び方の違いとは?

NSCA-CSCSとNSCA-CPTは役割が異なるため、試験内容も違います。そのため、事前に資格に合格するために「学び方の違い」を確認することをお勧めします。

本項では

・両資格の共通部分
・両資格の相違点

について詳しく見ていきますので、ぜひ試験勉強を開始する前に確認しておきましょう。

両資格の共通部分

NSCA-CSCSとNSCA-CPTに共通して求められるのは、解剖生理学などの基礎部分の知識です。

NSCA-CSCS・NSCA-CPTとも試験の出題範囲が幅広いため、暗記だけで対応するのは困難です。大学などで基礎知識を学んでいる場合は問題ありませんが、そうでない場合には、ゼロから基礎を学ぶ必要があるでしょう。

学習場所はオンラインスクールやスポーツ系大学・専門学校

NSCA-CSCSやNSCA-CPTの内容は、オンラインスクールやスポーツ系大学・専門学校などで学習が可能です。

試験では、トレーニング指導などの実践的な状況に関する問題が出されます。実際に、トレーニングやエクササイズを経験した事のある人は、その経験が活きてくるでしょう。

トレーニング経験のない人は、パーソナルトレーニングを受けてみると実践的シチュエーションの理解につながるでしょう。

両資格の相違点:公式テキスト・問題集

NSCA-CSCS・NSCA-CPTともに、NSCAジャパンからそれぞれの資格勉強用の問題集やテキストが販売されています。

テキスト内容が全く異なるため、自分の受ける資格用のテキストを購入して勉強すべきでしょう。

NSCA-CSCSとNSCA-CPTを活かせる仕事の違いとは?

NSCA-CSCSとNSCA-CPTは資格の差異から、活かせる仕事にも違いがあります。
それぞれの資格はどのような職業で活かせるのか、本項にて開設していきます

NACA-CSCS:スポーツの分野での仕事

NSCA-CSCSは、スポーツチームのパフォーマンス向上や、スポーツ施設・トレーニングジムの運営など、スポーツ分野で活かせる資格です。

資格取得者のおもな職業には、ストレングスコーチ・パーソナルトレーナー・アスレチックトレーナー・フィットネスインストラクター・医師・研究者などがあります。

NACA-CPT:パーソナルトレーナーなど

NSCA-CPTは「対個人」のコーチングに向いている資格であるため、パーソナルトレーナーで活かせるでしょう。

そのほかのおもな職業としては、フィットネスインストラクター・スポーツ指導者・柔道整復師・理学療法士などがあります。

NSCA-CSCSとNSCA-CPTの取得がおすすめな人とは?

ここまでNSCA-CSCSとNSCA-CPTそれぞれの試験概要や勉強方法、資格を活かせる職業について解説していきました。

ご説明の通り、資格の発行団体は同じでも試験内容や学習内容が異なるため、各資格、取得をオススメする属性が異なります。

そこで本項では、各資格の取得をオススメする方の特徴をご説明します。

NSCA-CSCSの取得がおすすめな人

NSCA-CSCSは、アスリートのスポーツパフォーマンスの向上や障害予防をサポートする専門知識を身に付けるため、プロのスポーツチームや、アスリートのトレーニング部門などで活躍したい方におすすめの資格です。

また、パフォーマンスを向上させるために最新の科学的アプローチや方法論を学ぶことができるので、高度なスポーツパフォーマンスの知識を身に付けたい人にも向いています。

さらにNSCA-CSCSは、国際的な資格であることから、国を超えて国際的な活躍を目指しているトレーナーにとっても有用な資格といえるでしょう。

NSCA-CPTの取得がおすすめな人

NSCA-CPTは、スポーツ現場で活躍するトレーナーやアスリートを始め、広範囲のお客様に対応するための知識やスキルを証明する資格です。

NSCA-CSCSと比べると、アスリートに特化した内容は少ないですが、アスリートや一般のお客様の目的やニーズに応える能力が身に付くため、多様な人たちに指導したい人におすすめの資格です。

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まとめ

本記事では、NSCA-CSCSとNSCA-CPTの違いについて、資格概要や資格を活かせる職業、試験概要などさまざまな角度からご説明しました。

いずれの資格もNSCAが認定するトレーニング指導の資格ですが、2つの資格には、

・NSCA-CSCS:アスリートのパフォーマンス向上や傷病予防の知識を問われる
・NSCA-CPT:一般人向けのトレーニング指導能力を問われる

という求められるスキル・知識の違いがあります。

両資格には、共通して求められる基礎部分の知識もありますが、資格取得後の職業選択に大きく影響が出てきますので、自分の志望する仕事に合わせて、取得する資格を選んでみてください。

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