スポーツ心理学とは?資格を活かせる働き先や主要な資格3選!
スポーツとメンタルは強く関わりあっています。メンタルを整える事で最大限のパフォーマンスを発揮できたり、スポーツをする事で向上心などの精神力を高められたりすると考えられています。
このスポーツとメンタルの関連性を科学的に検討し明らかにしようとするのが、スポーツ心理学です。スポーツ心理学は現在、スポーツの現場だけでなく、社会問題解決のためにも注目されています。
この記事では、スポーツ心理学とは何かについて詳しく解説しています。
スポーツ心理学とは?
スポーツ心理学とは、スポーツ(体育)とメンタルの関連性を明らかにする学問です。スポーツのパフォーマンスを高めたり、より良い指導・コーチングをしたりするために、スポーツ心理学の知識が利用されています。
スポーツ心理学は、以下の2種類に大別されます。
- 日本型のデータ研究をおこなうもの:リラクゼーションなどのイメージトレーニングの心理やパフォーマンスへの影響の検討・研究など
- 欧米を中心とした実践的なもの:スポーツを通じて、生活の質や考え方をよりよくしていこうという考え方
スポーツ心理学の歴史は日本と欧米で大きく異なり、欧米で特に盛んになったのは1920年以降です。日本では第2次世界大戦後に、スポーツ心理学の研究が盛んにおこなわれるようになりました。
その後、1950年に日本国内で日本体育学会が設立されたり、1965年に国際スポーツ心理学会が組織されたりするなど、時代を経るごとにスポーツと心理が関連づけて研究されるようになりました。
スポーツと心理との関連性は高く、スポーツ心理学の研究領域は多岐に渡ります。具体的には、スポーツとQOL(生活の質)の関連性・スポーツ集団における個人の行動・スポーツ参加へのモチベーションなどです。
このように領域の広さゆえ、とらえどころのない面がありますが、スポーツ心理学の代表的な考え方としては「メンタルや心理的な要因がスポーツのパフォーマンスにどのように影響するか?」を理解する事です。
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日本のスポーツ心理学の現状
戦後から盛んに研究されるようになった日本のスポーツ心理学。
現在までに、健康のための運動やスポーツへの参加の重要性が指摘されており、スポーツ参加を促す動機づけなども明らかになりつつあります。
しかし実際にスポーツ心理学を応用し、健康維持のために多くの人が積極的にスポーツに参加するようになる、というところには至っていない状況です。
今後、多くの国々と同様に、日本でも高齢社会・長寿命化により、さまざまな社会問題に直面する事が予想されます。「何歳まで生きられるか?」ではなく「何歳まで健康に生きられるか?」という考え方が重要となり、そのために健康スポーツの果たす役割は非常に大きいといえるでしょう。
スポーツ心理学領域においては、競技の心理に関する研究が盛んにおこなわれています。競技の心理とはスポーツのパフォーマンスを高めるための心理の事で、メンタルトレーニングやリラクゼーションなどを用いて、選手の良好なメンタル状態から優れたパフォーマンスを引き出そうとする研究です。
一方で、競技者にのしかかるプレッシャーの緩和や、イップスなどの心身問題に対する明確な解決策に関する課題が存在します。スポーツにおける心身問題の解決策を導き出すためにも、今後はスポーツ心理学の領域だけではなく、心身医学の知見の活用が期待されています。
スポーツ心理学の主な資格3選
スポーツ心理学を体系的・専門的に学びたいとき、資格学習を活用する事で効率的に知識を得る事ができます。この章では、スポーツ心理学に関連する資格を3つ紹介します。
スポーツメンタルトレーニング指導士
スポーツメンタルトレーニング指導士は、日本スポーツ心理学会が認定する資格です。パフォーマンス向上のためにメンタル面を中心とした指導やサポートをおこなう専門家として、以下の3種類の資格が存在しています。
・スポーツメンタルトレーニング指導士
・スポーツメンタルトレーニング上級指導士
・スポーツメンタルトレーニング名誉指導士
これらの資格を取得するためには日本スポーツ心理学会に所属している事や、講習会の受講などが資格認定の要件として規定されています。
参考:日本スポーツ心理学会
スポーツメンタルコーチ
スポーツメンタルコーチは、日本スポーツメンタルコーチ協会が認定する資格です。結果を出せるアスリートの育成・コーチングを目的としています。
スポーツメンタルコーチ資格講座を修了すると「ブロンズ・スポーツメンタルコーチ」の資格を取得できます。
その後、実務経験や勉強会参加などの条件をクリアする事で「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」と昇格が可能です。
スポーツメンタルコーチの資格取得者は、プロスポーツ選手のコーチングなどで活躍しています。
JTA公認スポーツメンタルトレーナー
JTA公認スポーツメンタルトレーナーは、日本トレーナーズ協会(JTA)が認定する資格制度です。定められた認定コースを受講・卒業する事で、公認スポーツメンタルトレーナーとして活動できるようになります。認定コースに入学するためには、メールでの一次試験(経歴や保有資格の申請など)と、電話による二次試験(人柄などを重視したもの)に合格する必要があります。
参考:日本トレーナーズ協会
スポーツ心理学を学んで就ける仕事とは?
スポーツ心理学を専門的に学ぶと、どのような職に就く事ができるのでしょうか。
この章では、スポーツ心理学に関連性のある仕事をご紹介します。
大学教授
スポーツ心理学を専門的に学び、よりスポーツ心理学の発展を担う仕事として、大学教授があげられます。専門的・体系的な知識を身につけて大学教授になれば、今後ますます研究が活発化して行くと予想されるスポーツ心理学について第一線で研究ができます。
体育教師
スポーツ心理学を活かしやすい仕事として、体育教師という選択肢もあります。
体育大学・体育学部ではスポーツ心理学を学ぶ機会があり、教員免許を取得しやすいという環境が整っています。
大学で学んだスポーツ心理学の知識をさらに深める事で、授業中やクラブ活動での指導に活用できます。
プロ選手のトレーナー
プロスポーツ選手やチームのトレーナーとして、スポーツ心理学を活かす事もできます。スポーツ心理学の観点から、スポーツ選手の最大限のパフォーマンスを引き出す事、不調やスランプの脱出のためのコーチングをおこなう事などがトレーナーの役割です。
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まとめ
スポーツ心理学の領域は幅広く、健康へのモチベーションや日常生活の質の向上など、スポーツの場以外にも密接に関わっています。
現段階で最もおこなわれているのが「心理的な状態がいかにスポーツのパフォーマンスに影響を与えるか」「どのような心理状態が最高の成果を引き出すか」といった研究です。今後はスポーツ競技者などにおける、心身問題へのさらなる研究・応用が求められています。
スポーツ心理学の知識を身につけたトレーナーが、実際にプロスポーツ選手のトレーナーとして活躍しています。スポーツトレーナーにとってスポーツ心理学の知識の習得は重要となります。スポーツ生理学などの知識とあわせて、スポーツ心理学の理解も深める事をオススメします。