筋学とは?筋学を学ぶための方法や活かせる就職先を紹介!


筋学は、解剖学のうち筋肉について学ぶものです。スポーツやリハビリテーションを実践するには、筋肉の状態や反応を知る事が不可欠です。筋学はトレーナーとして指導するうえでも重要な知識といえるでしょう。

今回は、筋学の意味や歴史、関連する学問を解説します。また、筋学はどこで学べるのか、筋学の知識があるとどのような仕事に役立つのかを紹介します。筋学とは何かを知りたい人、これからトレーナーを目指したいと思っている人はぜひ参考にしてください。

筋学とは?意味や歴史について

筋学とは、解剖学のうち筋肉の構造や機能・関連する腱や腱膜・筋膜などを学ぶ学問です。医療はもちろん、スポーツや運動機能増進のための分野で役立てられています。

最初の人体解剖は、約2,300年前(紀元前3世紀)にエジプトのアレクサンドリアでおこなわれました。その後、約500年前(15世紀)に、実際の解剖をもとに大量の解剖図を残した、レオナルド・ダ・ヴィンチが登場します。この頃が近代解剖学の始まりとされています。16世紀には、アンドレアス・ヴェザリウスが世界初の解剖学書を刊行。以後、ヨーロッパでは人体構造に関するさまざまな知識が蓄積されていきました。

日本で解剖がおこなわれるようになったのは、その約200年もあとの江戸時代になってからです。杉田玄白らが西洋の医学書を翻訳し『解体新書』を刊行しました。現在のように解剖学を学校で学べるようになったのは、明治以降の事です。

現代の解剖学は2種類に大別されます。1つは個々の部位ごとに構造を明らかにする局所解剖学、もう1つが各組織や器官が持つ、機能や働きを順追って整理する系統解剖学です。筋学は後者の系統解剖学に属します。

実際の解剖をもとにした知識の広がりによって、人体の骨・筋肉・内臓・神経などの位置がより正確に把握できるようになりました。さらにそれらの機能・働き・つながりまでがわかった事で、治療やリハビリテーション・健康増進のための指導がより効果の高いものに発展しました。

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筋学に関連する学問

解剖学の領域を細分化したとき、筋学はあらゆる学問と関わり合います。ここでは筋学に関連する学問を簡単にご紹介します。以下の項目は、前項で解説した系統解剖学の分類です。

神経解剖学・人体解剖学

神経解剖学は、おもに脊髄や脳の中枢神経系の構造や仕組み、神経系の発生や再生の経緯などを学ぶものです。人体解剖学は、おもに末梢神経や自律神経(交感神経・副交感神経)を学びます。全身の神経系を学ぶ事で、身体を動かす際にどのような神経回路でどのように伝達されるか、という知識も得られるでしょう。

脈管学(みゃっかんがく)

脈管学は、身体のなかに流れる血液やリンパ液の体液の循環、およびそれらが流れる血管やリンパ管について学ぶ学問です。血管やリンパ管を流れる血液やリンパ液は、循環のなかで酸素や栄養素を全身に送り届けます。さらに、炭酸ガスや老廃物の排出にも貢献します。血管やリンパ管周辺の筋の状態は、ポンプ機能や循環の良し悪しに影響します。

骨学(こつがく)

骨学は、全身の骨や骨格筋がどのように連結しているかを学ぶ学問です。私たちの身体には約200の骨があり、それらの骨を動かすための600以上の骨格筋があります。筋肉や神経、・靭帯、・血管などとも密接な位置で作用し合いながら、身体の動きを生み出しています。

靭帯学(じんたいがく)

靭帯学は、身体の関節にある靭帯を学ぶ学問です。身体は骨が支えになり、その周辺の筋肉が伸び縮みする事で動かせます。動かしたときに骨と骨が外れないように、柔軟につなぎ止める働きをしているのが靭帯です。肩・胸・肘・股関節・膝・足首にそれぞれ複数存在します。

内臓学

内臓学では、消化器系・呼吸器系・泌尿器系・生殖器系に属する器官の機能や構造を学びます。そもそも内臓が健康でなければ、どんなスポーツにおいてもベストパフォーマンスは見込めません。代謝や脂肪量や筋肉の質に影響を与えますし、逆に内臓の位置は筋肉や骨格の影響も受けています。各内臓が適切な位置でそれぞれの機能を十分に果たせるか否かで、運動パフォーマンスや運動効果・効率性も変動するでしょう。

筋学を学べる場所

筋学を学ぶ場所としては、大きく2つの選択肢があります。大学か専門スクールです。各選択肢の学びの特徴を見ていきましょう。

大学

4年制大学では、筋学を中心に身体の構造などを学べます。解剖学領域は、医療系の学校・学科のイメージが強いかもしれません。しかし、現代ではスポーツ科学や健康運動科学などでも、カリキュラムに組込まれている事が多いです。

将来的にスポーツトレーナーなどの仕事で、筋学を活かしたいと考えている人は、スポーツ科学や健康運動科学などの学科のある大学の選択を、オススメします。

専門学校・専門スクール

専門学校・専門スクールでは、筋学のほかに、身体の仕組みなどの専門的な知識を学べます。実践的な実習も盛り込まれており、4年制大学と比較して、学習や習得ペースが早いです。学びの目的や将来の進路がかなり明確になっている人は、より短期間で修了できる専門学校・専門スクールという選択肢も有効でしょう。

筋学を学んで就ける仕事とは?

解剖学、さらには筋学を学び人体の理解を高めておくと、就職の際も有利になるでしょう。ここでは、考えられる選択肢のうち、3つの仕事の内容や特徴をご紹介します。いずれの仕事も筋学の知識が役に立つ場面は多いはずです。

理学療法士

理学療法士は国家資格で、リハビリテーションの専門家として活躍できます。基本的動作の回復に向けたリハビリ指導をおこなうため、対象者は障がい者・ケガや病気を患っている人・高齢者などです。理学療法は医療行為にあたり、病院や介護施設などで医師と連携し、指示を受けながら仕事をする事が多いでしょう。昨今では運動パフォーマンスの向上のための介入も増えてきているようです。

作業療法士

作業療法士も国家資格です。具体的な仕事内容として、服を着る・家事をするなどの日常的な作業能力の向上をサポートします。理学療法士はおもに基本的な動作の回復をサポートするのに対し、作業療法士はその運動能力を活用した、応用的な動作の回復や練習の指導に携わります。

トレーナー

解剖学や筋学の知識はトレーナーの仕事でも活かせます。スポーツトレーナーはニーズの高まりもあり、細分化が進んでいるのも特徴です。例えばアスレチックトレーナーは、アスリートのケガの予防や治療にあたり、医師/監督との仲介役となってアスリートの健康管理を担います。

一般の人たちの健康意識も向上しているため、ジムで必要に応じて利用者にアドバイスをするトレーナーのほか、マンツーマン指導をおこなうパーソナルトレーナーのニーズも高まっています。

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まとめ

スポーツ・運動・リハビリテーションと、目的は何であれ身体を動かす事には筋肉が必ず関わります。筋肉の質や強さは、パフォーマンスや運動効果にダイレクトに影響するものです。

筋学の知識は、トレーナーにとって要となる知識といっても過言ではありません。一言で筋・筋肉といってもその種類は膨大です。一つひとつの働きやそれぞれの関連性まで覚えるのは大変ですが、知識を深めるほどに専門性の高いトレーナーとして活躍できるでしょう。

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