トレーニング指導者(JATI-ATI)資格とは?資格取得の条件・方法や役割を解説
スポーツ施設やフィットネスクラブなどで働くトレーニング指導士に憧れる人が増えています。トレーニング指導士が増加している背景には、健康志向の高まりやフィットネスへの関心・注目度のアップなどの要因が考えられます。
一方で、トレーニング指導士の仕事の内容や資格の取得方法が分からない人も少なくありません。
この記事では、トレーニング指導士の概要を紹介したうえで、資格取得の方法や資格を活かせる就職先、収入などを解説します。
トレーニング指導者(JATI-ATI)資格とは
まず、トレーニング指導者(JATI-ATI)とはどういった資格なのかを解説します。
トレーニング指導者(JATI-ATI)資格とは民間資格
「JATI認定トレーニング指導者資格(JATI-ATI)」は、NPO法人日本トレーニング指導者協会が認定する民間資格で権威のある資格です。
JATI認定トレーニング指導者資格には、以下の3つのレベルが設けられています。
・トレーニング指導者 JATI-ATI……対象や目的に応じて、科学的根拠に基づいた運動プログラムを作成・指導するために必要な知識を持っている者
・上級トレーニング指導者 JATI-AATI……対象や目的に応じて適切な運動プログラムを作成するために必要な高度な知識とともに、実技の指導技能を持っている者
・特別上級トレーニング指導者 JATI-SATI……きわめて高度な知識・技能とともに、長年にわたる実績をもっている者
JATI認定トレーニング指導者資格は以下の記事でも詳しく解説しているので、興味のある人はぜひチェックしてください。
※参考:JATI-AATI(JATI認定上級トレーニング指導者)の資格とは?勉強方法や将来性を紹介
スポーツジムやフィットネスクラブなどの体育施設で、ケガなどのリスクや運営上の法的管理などの知識をもとに指導や助言などを担当します。
具体的には、ウエイトトレーニングやサーキットトレーニングを正しく安全におこなえるように指示する仕事です。
トレーニング指導者(JATI-ATI)資格を取得するメリットとは?
トレーニング指導者(JATI-ATI)を取得するための勉強を通じて、スキルや知識を身に付けることができます。
また、トレーナーやコーチなどの指導者として働く際に資格を持っていることで高いスキルを証明でき、他の指導者と比べて有利になります。トレーニング指導者(JATI-ATI)を取得することでキャリアアップにもつながるでしょう。
トレーニング指導者(JATI-ATI)の役割
トレーニング指導者(JATI-ATI)の役割は、正しいトレーニング方法の指導と国民の体力づくりへの貢献の2つです。スポーツ施設にて誤った方法でトレーニングをおこなうと、ケガをしてしまうリスクがあります。
また、トレーニング指導者(JATI-ATI)を主催する日本トレーニング指導者協会は「体育・スポーツ施設の充実およびその効果的運営の促進を図り、国民の心身の健全な発達に寄与する事」としており、事業の一環としてスポーツ指導士の資格制度が設けられています。
以上を踏まえると、資格取得者本人のキャリアアップのためだけでなく、資格取得者を雇用するスポーツ施設にとっても大きなメリットのある資格です。
トレーニング指導者(JATI-ATI)に必要なスキルとは?
トレーニング指導者(JATI-ATI)には、トレーニング中の怪我を未然に防ぐ方法や、身体の鍛え方などのトレーニングに関する専門知識が必要です。
他にも、解剖学や生理学など、人体の基本に関する知識もトレーニングメニューを考える上で必要になります。
トレーニング指導者(JATI-ATI)に向いている人
トレーニング指導者(JATI-ATI)は、トレーニングやスポーツに興味がある人・向上心がある人・意欲的な人・人に指導をしたり、サポートすることに関心がある人などに向いています。
また、人の成長を喜べる人にも向いているでしょう。
但し、総じてトレーニング指導相手と直接対話する仕事のため、コミュニケーション能力が必要になります。
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トレーニング指導者(JATI-ATI)を取得するための要件
JATI取得に必要な要件は、次の3点です。
JATIに入会する
養成講習会の受講および自己学習課題(ワークシート)を提出する
JATI-ATIの認定試験に合格する
以下でそれぞれ解説します。JATI-ATIの資格取得に興味がある方は、よく確認しておきましょう。
JATIに入会する
まずは、JATIへの入会手続きを行う必要があります。JATIの理念に賛同している方であれば、どなたでも入会することができます。
入会手続きが完了すると、JATIの会員として認められ、養成講習会を受講することが可能になります。入会金は11,000円(税込)です。
養成講習会の受講および自己学習課題(ワークシート)を提出する
例年夏頃に開催される養成講習会(2024年は、8月1日~9月8日に動画配信形式で開催)で、全11領域32時間の講習会に参加する必要があります。
認定試験と同様に、講習会でも一般科目と専門科目の2種類が用意されており、それぞれ16時間ずつ、合計11領域の講義を受講する必要があります。
また、講習会の終了後には、習得した知識を確認するための自己学習課題としてワークノートの提出が求められます。この課題を9月中に提出すると、試験の受験資格が得られます。
2024年度の講習会受講料は、一般科目が60,500円(税込)、専門科目が66,000円(税込)です。
講習会を受講するには以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
・4年制大学卒業者(卒業見込み含む)
・短大、専門学校卒業者(卒業見込み含む)
・職業能力開発大学校の専門課程修了者(修了見込み含む)
・防衛大学校、海上保安大学校、気象大学校など各省大学校の修了者(修了見込み含む)
・高卒以上で、運動指導歴が3年以上ある方
なお、JATIが指定する資格(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、健康運動実践指導者、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師などの国家資格)を取得している場合は、一般科目の講習会受講と課題提出が免除されます。
また、過去にJATI認定試験を受験したことがある方や、健康運動指導士、日本スポーツ協会公認スポーツプログラマー、NSCA-CPT、NSCA-CSCSなどの資格を持っている場合は、一般科目・専門科目両方の講習会および課題提出が免除となります。
JATI-ATIの認定試験に合格する
公認トレーニング指導士試験は、4日間の講習会の翌日に実施されます。
試験時間は90分間です。
試験の合格率は公表されていませんが、養成講習会に集中して取り組めば合格できるレベルとされています。
試験合格後に資格認定登録料を支払うと、資格認定証や資格認定カードが送付されます。
資格取得にかかる料金
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格取得には、講習会の受講料として126,500円、試験の受験料として33,000円、日本トレーニング指導者協会の年会費として11,000円の合計170,500円がかかります。
トレーニング指導者(JATI-ATI)資格の試験について
続いて、トレーニング指導者(JATI-ATI)資格の試験内容や合格率について解説します。
試験内容
トレーニング指導者(JATI-ATI)資格の試験は一般科目と専門科目の2つに分かれています。
一般科目は、体力トレーニング総論・機能解剖・バイオメカニクス・運動生理学、運動と栄養・運動と医学・運動と心理の7領域、専門科目はトレーニング指導者論・測定と評価・トレーニング理論とプログラム・トレーニング実技と指導法の4領域から出題されます。
試験の合格率
試験は一般対象試験と養成校・養成機関対象者試験に分かれており、種類によって合格率に差があります。
2023年度に行われた試験で最も合格率が高かったのは全国共通会場で行われた第3回目の一般対象トレーニング指導者認定試験で、合格率は93%でした。
一方、最も合格率が低かったのは地区別会場で行われた第2回目の養成校・養成機関対象トレーニング指導者認定試験で、合格率は55%でした。
試験にかかる費用
受験料は2科目合わせて33,000円(税込)です。講習会の受講料とは別に認定試験の受験料がかかるので注意が必要です。
試験日程・試験会場
試験は年に3回、10月・12月・3月に行われます。10月と3月に行われる第1回・第3回試験の会場は東京のみですが、第2回試験は東京の他に宮城・沖縄・岡山・北海道・福岡・大阪・石川・愛知でも実施されます。
トレーニング指導者(JATI-ATI)資格は更新が必要
JATI-ATIの資格は5年ごとの資格更新が必要です。
資格の更新は、全国体育施設研究協議大会への参加やWeb研修受講など、公益財団法人日本体育施設協会が指定する更新要件を、資格有効期限の6か月前までに満たす必要があります。
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格を活かせる就職先
トレーニング指導者(JATI-ATI)は、ウエイトトレーニングやサーキットトレーニングを正しく安全におこなえるように指示をする仕事なので、スポーツ・体育関連の施設での活躍が期待されます。
逆に、スポーツ・体育に関連する施設に就業中もしくは就業予定でなければ、資格は取得できません。具体的にトレーニング指導の資格が活かせるのは、以下の施設です。
パーソナルトレーニングジム
フィットネスクラブ
教育機関
ジムやフィットネスクラブ
ただし、トレーニング指導者(JATI-ATI)だけで上記であげた就職先にそのまま採用されるわけではありません。フィットネスの機器を安全に使用し、ケガや身体の不調を未然に防ぐ意味で、トレーニング指導者(JATI-ATI)のスキルは必要とされている知識です。
また、健康志向の高まりにともない、今後トレーニング指導者(JATI-ATI)の重要性もますます高まっていく事が予想されます。
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格で出来る仕事
他にもトレーニング指導者(JATI-ATI)の資格で出来る仕事には、
1.アスリートのパーソナルトレーナー
2.社会人チームやプロチームのトレーニングコーチ
3.高校や大学の運動部の指導者
4.スポーツクラブや市民体育館のスポーツ指導者
5.介護施設のエクササイズ指導者
6.スポーツブランドや関連企業の社員
以上の6つなどがあります。
アスリートのパーソナルトレーナー
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格はアスリートのパーソナルトレーナーとして働く際に有利です。
怪我を未然に防いだり、能力を向上するためのメニューを考案したり、トレーニングのサポートなどを行います。
社会人チームやプロチームのトレーニングコーチ
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格があると、個人のパーソナルトレーナーだけでなく社会人チームやプロチームのコーチとしても活躍が期待できます。
個人のトレーニングだけでなく、チーム全体のパフォーマンスを伸ばす指導力を発揮できるでしょう。
高校や大学の運動部の指導者
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格はプロや社会人に限らず、高校や大学の運動部の指導者としての活動にも役立ちます。
トレーニングメニューを考案し、指導することで若い学生の成長に寄与することが可能です。
スポーツクラブや市民体育館のスポーツ指導者
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格はスポーツクラブや市民体育館のスポーツ指導者になる際にも有効です。
トレーニングやフィットネス指導を通じて運動や健康の魅力を伝えます。
介護施設のエクササイズ指導者
介護施設のエクササイズ指導者として働く際にもトレーニング指導者(JATI-ATI)の資格が役立つでしょう。
高齢者や身体機能にハンディキャップがある方向けのトレーニングメニューを考案し、健康促進のサポートを行います。
スポーツブランドや関連企業の社員
トレーニング指導者(JATI-ATI)の資格はスポーツブランドや関連企業の社員として働く際にも有利に働くでしょう。
実際にトレーニング指導を行わなくても、資格取得の勉強を通じて学んだ身体や運動に関する知識はトレーニング器具やスポーツ用品などの開発にも有効活用できます。
トレーニング指導士の平均給料は?
トレーニング指導士の給料面も確認していきましょう。また、資格を活用して収入アップをするためにオススメの資格も紹介します。
トレーニング指導士の給料は水準以下?
現状は、トレーニング指導士を取得しているといっても大幅な収入アップが期待できる状況ではありません。雇用される企業や施設の雇用形態や会社の規模がポイントになるでしょう。
具体的な年収としては、スポーツジムやフィットネスクラブに勤務する場合の年収が300~350万円程度です。業界水準ですが、日本の会社員全体の平均年収の420万円と比較すると、平均値としてはやや低いようです。
収入アップを目指すためにオススメの資格
スポーツ関連の仕事は、権威のある資格を取得したり、仕事に活用したりする事で収入アップを目指せます。
特に、パーソナルトレーニングジムトレーナーに関して3大資格といわれているのが、次の3つの資格です。
NSCA-CPT
アメリカに本部があり、世界的に権威のあるトレーナー関連の資格です。取得すると、子どもからシニアの人まで幅広く指導できるようになります。
NESTA-PFT
アメリカに本部があり、世界20か国でインストラクターが活躍している資格です。最大の特徴は、20種類の特化したスペシャリスト資格が存在します。
JATI-ANTI
日本に本部を持つトレーナー資格の中で権威が高いのが、NPO法人日本トレーニング指導者協会が運営するJATI-ANTIです。実務を重視した資格であり、取得のためにはトレーナーとしての実績や5年ごとの更新が必要とされています。
3つの級がありますが、上位の級は一つ下の級の所有者にしか受験資格が与えられません。
トレーニング関連の資格と、公認トレーニング指導士としての安全かつ効果的なトレーニングを設定するスキルを活かして、専門性を高める事が給与アップにつながります。
トレーナーエージェンシーでは、
・トレーナーとして必要な素養
・具体的なトレーナーの働き方
・おすすめの資格
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・うまく行く人/いかない人の違い
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まとめ
公益社団法人日本体育施設協会が運営している公認トレーニング指導士は、運動・スポーツ施設での安全かつ効果的なトレーニングの実施と、国民の運動機能の向上を目的としています。
現状ではスポーツクラブやパーソナルトレーニングジムの平均給与は一般的な会社員よりもやや低いですが、あくまでも平均値での話です。公認トレーニング指導士の資格やほかのパーソナルトレーナー資格を取得し給料アップを目指す事ができます。
なにより、安全かつ効果的なトレーニングを利用者に指導できるようになるので、ぜひ積極的に資格取得にチャレンジしてください。
