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アメリカスポーツ医学会(ACSM)とは?社会的権威と認定資格を説明

私たちは「あの人は体力がある」とか、「疲れている」などと評価しますが、実はこれらを定義することは難しい事です。しかし、一定の基準がないと、その人の体力・技術を把握出来ません。それを医学的な見地から評価する機関が「アメリカスポーツ医学会」です。

目次

アメリカスポーツ医学会(以下ACSMという)とは?

ACSM(The American College of Sports Medicine)は、1954年以来世界の90ヵ国以上(2015年現在)、ヘルスフィットネスやスポーツ医学の認定する、世界に認知されている組織です。

日本では、公益社団法人日本フィットネス協会(以下JAFA)が、資格試験の実施や更新、広報などの活動を行っています。日本のACSM認定パーソナルトレーナーの数は、1987年に第1回認定試験テストを実施して以来、これまで約600名が合格し、活躍しています。

ACSMに関する情報は、ACSMが公開する情報に基づき適宜に更新されますので、受験の時期や会場・試験科目・受験費用などは、変更されることがあります。事前にJAFAに問合せるか、ホームページで確認してください。

ACMSの役割と取り組み

ACSMは現在まで、基礎科学臨床化学、教育を行う人々の見解から健康管理の方法を広めてきました。特に成人に向けた健康管理の方法の確のために、身体科学的な根拠によって、適切な指導を行っています。ACSMは認定の資格者であるパーソナルトレーナー(CPT)を育成し、運動による健康指導に力を入れています。

CPTによる健康指導

CPTは健康に向けた体力及びその動作を維持するための運動に精通しています。CPTは運動により健康になりたいと思う人に対して、適切な方法で指導をします。

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ACSMの資格認定と社会的背景って?

ノートを持つ女性

ACSMの資格認定・登録は「健康と予防、リハビリテーションプログラムの健康運動」を指導する専門家(トレーナー)に対して、質の高い資格と継続的なプログラムを提供しています。こうした人材が求められる背景としては、現代人の健康と運動への関心が増している証拠といえるでしょう。

アメリカ公衆衛生局は、定期的な身体運動を行うことが疾病の予防と健康の増進に重要な役割を果たしているとしています。ACSMも、国民・専門家・

国家に対して、この資格認定の重要性を広める資格認定や広報などの活動を行っています。

ACSM認定パーソナルトレーナー(CPT)

 受験資格
18歳以上
高卒またはそれに相当する者
成人の心肺蘇生の実用技術に関する資格を有していること。たとえば、アメリカ心臓学会やアメリカ赤十字の資格

ACSM認定パーソナルトレーナーに求められるすべての知識、技術、能力を有していなければなりません。リスク因子や健康状態を見分けることができ、体力の評価と運動処方について適切な知識と技術がなければなりません。

運動能力を改善するための、適切で新しい活動を組織的にできる能力がなければなりません。生活習慣を変えるための効果的な教育ができ、相談にのれる事が必要です。

ACSM認定体力スペシャリスト(HFS)

受験資格
地域での認定された大学の準学士、または学士を取得し(候補者が最終学年の場合、試験を受ける資格がある)他の条件は、CPTに同じです。

CPTに求められる能力に加え、さらに運動科学・機能解剖・運動生理学・栄養・計画実行・心理学・障害予防を含む運動学における知識がなければなりません。

ACSP認定臨床運動スペシャリスト(CES)

受験資格
地域での認定された大学で学士を取得している。かつ、臨床運動プログラム(たとえば、心肺リハビリテーションプログラム・運動負荷試験・運動処方・心電図・患者教育・患者相談・心疾患・肺疾患・代謝系疾患の管理・救急疾患の管理)の臨床経験が600時間必要です。また、一次救命処置(BLS)プロバイダーの資格、あるいは成人の心肺蘇生の実用的技術に関する資格を有することが必要です。(アメリカ心臓病学会やアメリカ赤十字)

ACSM認定臨床検査用運動スペシャリスト・ACSM認定健康体力スペシャリストに求められているすべての知識・技術・能力を修得していなければなりません。機能解剖・運動生理学・病態生理・心電図・人間行動学・心理学・老年医学・健常者および患者への段階運動負荷試験・運動管理および指導・患者相談・運動負荷試験時またはトレーニング時に起こる救急処置についての高度な知識がなければなりません。

ACSM登録臨床運動生理学者(RCEP)

受験資格
臨床での勤務に運動生理学に最低600時間費やしている、あるいは最新版のACSM認定ガイドに掲載されている公式単位プログラムの一部を完了している事です。運動生理学の履修時間は「心血管:200時間」「肺:100時間」「代謝:120時間」「整形外科/筋骨格:100時間」「免疫/血液学:40時間」です。他の条件は、CESと同じです。

健康と体力の定義を知ろう

健康や体力を評価するとき、「元気だね」とか「今日はつらつとしているね」という表現を使います。しかし、これはひどく主観的で数値として評していない曖昧なものです。それは現在のスポーツ医学では、健康と運動に関係する定義がなく、体力を数値で表すことができないからなのです。

健康にかかわる体力とは

健康を要素に考えた体力は「心肺系要素」「身体組成」「柔軟性」「筋持久力」この4つです。しかしあくまでこれはそれぞれ体力の基準であり、健康を評価するものとしては貧弱なものです。以下で、それぞれの定義について説明します。

(1)心肺系要素
長時間、大きな筋肉を動かす能力として考えられ、有酸素運動の能力を測定します。

(2)身体組成
脂肪と脂肪以外の筋肉が体重に占める相対的割合のことで、体脂肪率として表します。

(3)柔軟性
柔軟性は、関節の可動域や筋肉の柔軟性で評価しますが、主には関節の特異性が重要になります。

(4)筋持久力
長時間伸縮を続けられるか、また長時間意識的に筋肉の収縮を続けられるか、筋群の能力で表します。

スポーツ(競技)にかかわる体力とは

スポーツを要素として健康を考える場合は「平衡性」「反応時間」「協調性」「敏捷性」「スピード」「パワー」の6つが挙げられます。これらも、健康と同じく個々人の体力によるもので、それぞれの能力の高さが健康の評価の要素と関わるもの、ということは難しいでしょう。

運動トレーニングプログラムの作成

ノートを持つ女性

運動プログラムは、対象者ごとに健康や体力によって最も適切なものをつくります。このプログラムは「生理的」「心理的」「健康」について科学的な根拠に基づいて作成されます。トレーニングの要素としては、「準備運動」「ストレッチ」「スポーツに関する運動」「整理運動」の4つです。

準備運動の意味と効果

準備運動は有酸素運動を一定時間行うことで、体温を上昇させ運動後の筋肉痛や筋肉の硬化を防ぐ意味で行こないます。つまり静的な状態から、本格的運動に移行するための生理学的・生態工学的・エネルギー消費増大の負荷に備えるための運動です。

運動を習慣化することによる有酸素運動の効果

水泳・バイクレース・スケートなど大きな筋肉を使う有酸素運動は、心血管系フィットネスに向いています。つまり、平均的な体力レベルの人(競技者)に向いた運動と言えるでしょう。

ただし運動初心者でも、ウォーキングやエアロビクスなどの軽度な運動により有酸素運動を行うことで、その効果を得ることはできます。

運動に欠かせない筋フィットネス

筋トレーニングでは、主にウェイトトレーニングを行います。筋トレーニングは、正しく行う事で筋力・筋持久力を向上させることができます。筋力はパワー重視の競技には向いていますが、日常では筋持久力のほうが、健康や体力の向上には有効な運動といえます。

体力測定による健康の評価

康・体力は、スポーツや労働などによって影響をうけます。行動能力は走る・跳ぶ・投げるです。病気は免疫や体温調整・ストレス耐性として現れます。行動能力は運動不足により低下がみられ、ある水準までいくと病気となります。

健康にかかわる体力テスト

テストは「心肺系体力」「身体組成」「筋力」の3つの要素で行います。健康にかかわるテストはいくつかあり、それぞれに専用の器具がありますので、妥当性・信頼性の高い器具を選ぶことが大切です。

体力の重要性を理解する

多くの人は、身体的な能力を高めるために日々活動を行っていますが、体力測定や疾病調査では、必ずしもその効果が現れているとはいえません。しかしテストの対象者を絞り込むと、その効果が身体能力に表れていることが確認されていますので、体力向上が健康維持に優位であるといえるでしょう。

体力・身体活動・運動に対する重要性の一般人の理解を高めるために

ジョギングや水泳などの運動が、体力の向上を促進していることはあきらかです。ですから一般の人は、まず身体活動を行うことが大切です。例えば、ウォーキングとまでいかなくても、軽い散歩や掃除などでも健康に良い効果を生みます。

安静時と運動時の血圧と心拍数

空 女性

安静時と運動時の血圧と心拍数は、健康・体力を評価するうえで非常に大切な要素です。以下に測定方法を説明します。

血圧測定

(1)安静時の血圧測定
踵を床に着け、脚を組まずに腕の衣服を上げリラックスした状態で座らせます。少なくとも5分以上の座位で安静にさせたのちに測定を開始します。

(2)運動時の血圧測定
測定方法は安静時と変わりませんが、血圧が不安定になりやすいので技術が必要です。回数をこなして慣れることが大切です。

心拍数測定

(1)安静時の心拍数数測定
頚動脈の検診では、触診の場合、指などで圧迫してしまい正確な測定ができない可能性があります。そのような誤差を防ぐためにも、橈骨動脈で測定するほうがよいでしょう。

(2)運動時の心拍数測定
安静時とほとんど変わりません。血圧と同様に安定しない状態ですので、回数を重ねて慣れることが必要です。

身体組成で体の状態を知る

身体組成は、体内の脂肪と脂肪以外の割合と定義されています。身体組成の評価は「肥満」「CDA」「糖尿病」「高血圧」「特定がん」「高脂血症」と深い相関があります。

肥満と健康の関係について

肥満は疾病率と死亡率とに深い相関がみられます。これに比べほどほどの体型の人たちには低い相関がみられ、肥満が疾病と関わりがあることが分かります。

身体組成測定法で知る理想的体型

測定項目は「身長・体重」「体格指数(BMI)」「ウェスト・ヒップ」「周囲径」「皮下脂肪厚」です。

(1)身長・体重
やせている、太っているなど、周囲に対して主観的な印象を生みます。また、過体重と脂肪率の目安にもなります。

(2)体格指数
一般にBMIといわれます。体重に対する身長の割合です。さまざまな疾病の指標となっています。

(3)ウェスト・ヒップ
疾病率や脂肪率に強い関連性があります。

(4)腕や脚、胸囲などの太さ
体脂肪とは直接的な関係はありませんが、身体組成・体の太さによる長期的な変化の観察により、将来の疾病の予測に適しています。

(5)皮下脂肪厚
全身の体脂肪の指標になり、さまざまな疾病の指標になっています。

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筋の適正を現す筋力・筋持久力・柔軟性

ストレッチ 女性

筋の適正とは、筋力筋持久力とが相互依存したものとして用いられる用語で、相互に依存していることを表します。柔軟性は、関節の周りの筋や関節を柔軟に維持することで体を動かしやすくします。この3つの要素が高いレベルの健康を維持するために重要と言われています。

(1)筋力の定義
特定の筋、筋群によって発揮することができる最大限の力の事です。

(2)筋持久力の定義
ある筋肉が筋疲労を起こすまでの時間内、ずっと筋収縮を繰り返し行うことができる能力の事です。

(3)柔軟性の定義
関節可動域のすべての範囲にわたって関節を動かす能力の事です。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)についてのQ&A

健康と病気との関係には、優位な相関がみられることは明らかです。今後、アメリカスポーツ医学会によって研究が進む事で、その関係はより理論的に証明されるようになるでしょう。
以下では、アメリカスポーツ医学会の研究成果の疑問点についてお答えします。

【Q1】小児や青年のフィットネスにはどんな効果がありますか

小児や青年期のフィットネスは、心肺機能・柔軟性・身体組成に関わる重要な要素です。少年期に筋力や筋の持久力を強化する効果としては、正しい姿勢ケガのリスクの低下などがあります。

【Q2】運動前のトレーニングは何をすればいいですか

準備運動」「ストレッチ」「コンディショニング」「そのスポーツに関連した軽い運動」「整理運動」などがあります。軽い運動とは、野球の場合はキャッチボールなどです。コンディショニングは主に有酸素運動のことです。これらを運動の前後に行うことでケガの防止につながります。

【Q3】寒さは運動に影響しますか

ほとんどの場合影響はありません。しかし、水に浸かったり雨や風に当たるような状態になると、体の熱が奪われパフォーマンスは低下してしまいます。最悪の場合は低体温症や凍傷になる恐れがありますので慎重に行ってください。

【Q4】メタボリックシンドロームは運動で改善されるのでしょうか

メタボリックシンドロームは病態生理学的状態として疾患と定義されていません。しかし改善のためには、運動だけでなく「体重管理」「動脈硬化性心血管疾患としての薬物治療」が必要といわれています。

【Q5】相手(競技者)の「疲れ」の状態を、どうやって判断すればいいですか

「疲れ」は主観的なものですから、相手と相談しながら数値化するとよいでしょう。例えば10段階に分けて「まだ余裕がある」という場合はレベル1、「ひどく疲れた」はレベル8などいった指標を作ってからトレーニングを始めるといいでしょう。数値化することで目標がはっきりとし、達成へのモチベーションアップにもつながります。

今回は、アメリカスポーツ医学会が提唱している「健康のための運動処方」と「体力測定とその評価」の一部を紹介しました。運動と疾病との関係は、まだまだ未知のものが多いですが、ACSMなどの研究によって、徐々に理論的に整理がなされていくでしょう。

先にも述べたように、CSMAの資格を取得するためには、ACSM認定パーソナルトレーナーとしての知識と技術・能力が必要です。運動生理学・運動科学・整体生理学・リスク因子・健康の評価・運動処方の計画・栄養や内臓疾患・心疾患など幅広い知識が求められます。

資格の取得はトレーナーとしての一歩に過ぎません。それぞれの分野の知識を深め、知識を蓄積・精通することで、真のACSM認定パーソナルトレーナーとなれるでしょう。

<参考URL>
・公益社団法人日本フィットネス協会https://www.jafanet.jp/license/acsm_hfs/
・日本健康運動研究所http://www.jhei.net/

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