ベンチプレスの世界記録とは?その記録と種類も詳しく解説
筋力トレの種目としてポピュラーなベンチプレス。
日々トレーニングを頑張る人や、大会を目指す人にとって、ベンチプレスの記録や重量は気になる部分です。
この記事では、ベンチプレスの世界記録を男女別に紹介しつつ、記録を伸ばすコツも解説していますので、これからのトレーニングに役立てていきましょう。
男性のベンチプレス世界記録はフルギア508kg
高重量を扱うベンチプレスは医学的に見ると、500kg以上の重さでは骨が耐えられず、折れてしまうと言われてきました。
しかし、近年ベンチプレスで500kg以上をマークする選手が出てきているため、更なる記録更新への期待が高まってきています。
男性のベンチプレスのフルギアの記録
専用のシャツを着用して競技を実施するフルギア(※)。
2013年12月までは、タイニーミーカー氏(アメリカ)の記録した500kgがフルギア世界記録でした。
7年後の2020年6月に、ウィル・バロッティ氏(アメリカ)が「Metal Militia Power Wars」に出場。
501kgを持ち上げ、フルギアの世界記録を更新しました。
さらに、同年12月の「MM World Championships」でも503.4kgという記録を叩き出し、自身の持つ記録を塗替えました。
ここ最近ではJimmy Kolb氏(アメリカ)が、2021年6月の「IPA Strength Spectacular」で508kgを持ち上げ、フルギア世界記録保持者になっています。
※フルギア・ノーギアについては後述
男性のベンチプレスのノーギアの記録
専用のシャツを着用せずに競技をおこなうのがノーギアです。
今までのノーギア世界記録は、2015年にロシアのキリル・サリチェフ氏が「WPC-RUS SN PRO Open Cup」で記録した335kgでした。
2019年8月には、ジュリアス・マドックス氏(アメリカ)が335.5 kgをマークし世界記録を更新。
同11月には337.5 kg、2020年3月には350kgを記録し、自身の持つノーギアの記録を塗替えています。
そして、2021年2月アメリカで開催された「WRPF Hybrid Showdown III」では、世界新記録となる354.7kgを叩き出す事に成功しており、今後は800ポンド(約362.9kg)への挑戦が期待されています。
男性がベンチプレスの記録を出すための注意点
ベンチプレス記録を伸ばすためのコツを2つ解説します。
・正しいフォームを身に付ける
・チェストプレスマシンを活用する
ベンチプレスは、肩甲骨を引寄せながらバーを下ろす事が大切。
肩甲骨を引寄せないと、バーをしっかり下ろす事が出来ないため、大胸筋へのトレーニング効果が得られにくくなります。
そして、ブリッジをしない状態だと肩に負荷が掛かって痛めやすくなるので、腰にすき間が出来る程度にブリッジをしましょう。
チェストプレスマシンを利用するのもオススメ。
フリーウェイトと異なり、動かす軌道が決まっているため、筋肉やフォームを意識しやすいのが利点です。
ベンチプレスできっちり筋肉を追込み、チェストプレスマシンで成長ホルモンの分泌を盛んにしていきましょう。
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女性のベンチプレス世界記録はフルギア274.4kg
男性が筋トレや身体作りでおこなうイメージの強いベンチプレスですが、海外のベンチプレス大会では、女性も多く参加しています。
特に欧米のパワーリフティング大会では、参加者のなんと3割〜4割が女子選手というケースもあるほどです。
女性フルギア・ノーギアのベンチプレス記録を、それぞれ解説していきます。
女性のベンチプレスのフルギアの記録
Becca Swanson氏(アメリカ)が、2008年3月「APF Big Iron In-House Open」で打立てた記録の272.5kgが、今までのフルギア世界記録でした。
今年に入り、2021年7月にアメリカで開催された「MM 814 Summer Smackdown Invitational」において、Rae-Ann Miller氏(アメリカ)が274.4kgを持ち上げ、フルギア世界記録の更新に成功しています。
女性のベンチプレスのノーギアの記録
2016年10月までのノーギア世界記録は、Samantha Dibois氏(アメリカ)が「SPF Let’s Send Samantha Coleman Down Under」でマークした181.4kgです。
しかし、すぐさま同じアメリカ国籍のApril Mathis氏が12月の大会「SPF Gritmas Classic」で、世界記録となる207.5kgを成功。
女性で唯一、200kgの大台突破を果たしたノーギア世界記録となりました。
女性がベンチプレスの記録を出すための注意点
女性がベンチプレスの記録を上げていくためのコツを2つ紹介します。
・ダンベルプレスを取入れる
・背中のストレッチをする
ベンチプレス用のバーは、軽いものでも10kg程度の重さがあります。
ベンチプレス初心者の場合、バーの重さでケガやフォームの崩れに繋がるため、重さの調整がしやすいダンベルがオススメ。
ダンベルと床が平行になるように動かし、大胸筋を意識して動かすとフォームが安定します。
慣れてきたら、徐々にダンベルを重くしていきましょう。
また、ストレッチで背中周りや肩甲骨を丹念にほぐす事も大切。
肩甲骨がほぐれると、ブリッジがしやすくなってトレーニング効果が増すうえ、肩の負担が軽減されるので一石二鳥です。
ベンチプレスの歴史
第二次世界大戦で負傷し、大ケガを負った兵士のリハビリとして実施されていたのがベンチプレスの起源です。
先人達が工夫を重ねたお陰で、ジムでのトレーニングやパラリンピック種目としてもお馴染みになりました。
ベンチプレスが誕生するまでの経緯や、歴史を順を追って紹介していきます。
ベンチプレスとは
ベンチプレスは、上半身を鍛える事が出来るウェイトトレーニングです。
大胸筋・上腕三頭筋・三角筋前部を中心に刺激が入り、補助的に腹直筋も使われるため、満遍なく上半身を鍛えられるのがメリット。
ボディビルダーから一般の愛好家まで、幅広く筋力トレーニングとしておこなわれています。
パワーリフティング競技種目でありながら、ベンチプレス単独で大会が多数開催されるなど、人気もある種目です。
スクワットやデッドリフトと一緒に「ビッグ3」という呼ばれ方をする場合もあります。
ベンチプレスの起源
ベンチプレスのルーツは第二次世界大戦にあります。
戦争の負傷により、脊椎損傷や下肢切断になった兵士のリハビリとして、ストークマンデビル病院(イギリス)でおこなわれたのが起源です。
最初は社会復帰のためベンチプレスで上半身を鍛えていましたが、そのうち重量を競い合うようになり、パワーリフティング競技として発展していきました。
日本では1964年のパラリンピック(東京オリンピック後)に、競技種目として初採用(※1)。
国立競技場でパワーリフティング競技が紹介され、パラリンピック競技種目として定着しました。
シドニーパラリンピック前年の1999年には、日本ディスエイブル(障がい者)パワーリフティング連盟が発足し、パラリンピックに毎回選手を送り込んでいます。
ベンチプレスの変遷
ベンチプレス台が開発されるまで、床でプレス動作をするフロアプレスが大胸筋のトレーニングとして主流でした。
1899年、ボディビルダーやレスラーとして有名なジョージ・ハッケンシュミットが、ブリッジしてお腹でバーを持ち上げる「ベリートス」を実施。
ボディビルダーのあいだで「ベリートス」が流行しましたが、筋力やストレングスとは関係が薄いという意見も多く出たため、1939年のルール改正に伴い禁止されました。
その後、ボディビルダー達は空き箱やベンチの上でプレスをするようになり、可動域が広く大胸筋へ効かせやすいベンチプレスが主流に。
1950年代には、バーベルを置けるラックつきのベンチが開発され、1960年代以降アメリカではボディビルディング人気が高まっています。
ベンチプレスのルール
ベンチプレス競技はIPF公式大会のルールに則り、規定ウェアや用具などを着用して出場します。
バーベルの持ち方・上げ下ろし・足のポジションなども細かく決められていて、かかとが浮いたり、頭が浮いたりしても反則になるのが特徴。
選手は審判の合図に従ってベンチプレスを実施し、記録に挑戦していきます。
ベンチプレス・フルギアとは
ベンチプレス用の競技Tシャツをフルギアと呼んでいます。
基本的にノーギアよりも高重量が持ち上げられるため、選手によっては自分の体重~180kgまで記録が伸びる場合も。
ただし、ノーギアよりも筋力や筋肉量を求められるうえ、技術や経験も必要になってきます。
さらに、反発力や体のサポート効果が高く、生地自体がとても硬いのも特徴。
着用すると肘が少し曲がった状態になり、一人では脱ぐのも着ることも困難になるのがデメリットです。
また、自分で着脱出来るようなフルギアだと、サポート効果が発揮出来ないケースが出てきます。
IPF(国際パワーリフティング連盟)の規定内に合わせ、必要な部分を縫い足してカバーする工夫も求められます。
ベンチプレス・ノーギアとは
ベンチスーツやベンチシャツを着用しない通常のベンチプレスをノーギアと呼びます。
良くジムで見かけるTシャツ・ハーフパンツのセットは、ベンチシャツを着用していないのでノーギアとも言えます。
大会ではシングレットという吊りパンを着用。
選手の経験やテクニック次第では、相応の高重量でも持ち上げる事が出来ます。
ケガ予防や関節保護のため、トレーニングで使用されるパワーベルト・ニースリーブ・リストラップなどは使用可能です。
※一定基準を満たした製品に限る
競技としてのベンチプレスのルール
着用ウェアや判定基準に関しては、厳密に定められています。
構える・バーを下ろす・バーを押上げるという流れで、ベンチプレスを実施します。
◆着用可能ウェアや規定
・Tシャツ・・IPF公認メーカーを着用。滑り止めが付きやVネックは不可。
・シングレット・・IPF公認メーカーを着用。スパッツや下着が出るのはNG
・保護具・・リストラップは可。エルボースリーブは不可。
・シューズ・・一般的なシューズ・足袋は可能。5本指シューズやサンダルは不可
◆判定基準
・胸の上でバーが静止している
・フィニッシュで両肘が伸びている
・挙上時にバーベルが傾かない(多少なら問題無し)
・挙上時にバーベルが下がらない
・足がずれていないこと
✖反則になる動作
・お尻が浮いてしまう
・頭部が浮いてしまう
・スタート合図の無視
・プレス合図の無視
・挙上中にバーが下がってしまう
・潰れた時に手を離してしまう
・バーの81cmラインが見えている
ベンチ台から髪の毛が出ていたり、かかとが浮いたりするのも反則になります。
ベンチプレスの国別記録
ラックつきベンチプレス台が開発された1950年代以降、ベンチプレスの記録は右肩上がりに上昇。
欧米を中心に、ベンチプレス大会が数多く開催されています。
ここ最近では、男子フルギアで500kg以上、女子フルギアで250kg超えの記録を出す選手も出てきています。
男性のフルギアの国別記録
ベンチシャツを着用した男性のフルギア記録は以下の通りです。
アメリカの選手が大台であるベンチプレス500kgを達成しています。
・藤本 竜希氏(日本)380kg
・Tomasz Obcowski氏(ポーランド)390kg
・Bill Crawford氏(カナダ)400kg
・Fredrik Smulter氏(スウェーデン)401kg
・Vyacheslav Tunkin氏(キルギスタン)405kg
・Steve Macneil氏(イギリス)410kg
・Viktor Naydenov氏(ロシア)450kg
・Kalle Ylitalo-James氏(フィンランド)455kg
・Jimmy Kolb氏(アメリカ)508kg
女性のフルギアの国別記録
女性のフルギア記録を紹介します。
全体的にアメリカやヨーロッパの選手が良い記録を出しています。
・Brenda van der Meulen氏(オランダ)215kg
・Viktoriya Sheludko氏(ロシア)220kg
・Rhaea Stinn氏(カナダ)225kg
・Hildeborg Juvet Hugdal氏(デンマーク)232.5kg
・Sandra Lönn氏(スウェーデン)235kg
・Emma Ylitalo-James氏(イギリス)250kg
・Yuliya Medvedeva氏(ロシア)252.5kg
・Rae-Ann Miller氏(アメリカ)274.4kg
男性のノーギアの国別記録
ベンチスーツ無しでベンチプレスに挑む種目であるノーギア。
国別記録は以下の通りになっています。
・名越 勇樹氏(日本)275kg
・Ilyes Boughalem氏(南アフリカ)291kg
・Jani Murtomäki氏(フィンランド)300kg
・Dmytro Golovynskyy氏(ウクライナ)305kg
・Peteris Isājevs氏(ドイツ)305kg
・Andrew Cooper氏(オーストラリア)306.5kg
・Siamand Rahman氏(ブラジル)310kg
・キリル・サリチェフ氏(ロシア)335kg
・ジュリアス・マドックス氏(アメリカ)354.7kg
女性のノーギアの国別記録
200kg越えを達成したApril Mathis氏。
女性のノーギア記録保持者としては筆頭格になります。
・Loveline Adaure Obiji氏(カザフスタン)150kg
・Dina Hakeai氏(ニュージーランド)155kg
・Precious Orji氏(コンゴ共和国)164kg
・Ruifang Li氏(韓国)165kg
・Anna Khudayarov氏(フィンランド)165.5kg
・Catherine Croydon氏(イギリス)166kg
・Grace Ebere Anozie氏(アラブ首長国連邦)168kg
・Lyudmila Gaiduchenko氏(ウクライナ)170kg
・April Mathis氏(アメリカ)207.5kg
トレーナーエージェンシーでは、
・トレーナーとして必要な素養
・具体的なトレーナーの働き方
・おすすめの資格
・トレーナー資格試験の力試し模擬問題
・うまく行く人/いかない人の違い
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まとめ
・男子フルギアの世界記録は508kg
・女子フルギアの世界記録は274.4kg
・男子ノーギアの世界記録は354.7kg
・女子ノーギアの世界記録は207.5kg
・男性はチェストプレスマシンを併用し、筋肉を追込みながらベンチプレスをおこなう
・女性はダンベルプレス・背中や肩甲骨のストレッチと併せてベンチプレスを実施する
ベンチプレスのルーツは、第二次世界大戦で負傷した兵士に対しておこなったリハビリでしたが、次第に競技に発展。
日本ではパラリンピックの競技として定着しました。
現在、男子のベンチプレス世界記録は500kgを超えています。
世界記録の更なる更新に向け、今後もベンチプレスからますます目が離せません!
某情報誌とサイトの編集者として15年以上勤務し、自身も編集者時代からダイエットとリバウンドを繰り返した経験を持つエディター兼ライター。現在はダイエット関連の記事を400本以上担当しつつ、3児の母として日々育児に奮闘している。