「予算はゼロだけど、独立して自分のジムを作りたい」果たしてできるのか? 社労士さんに聞いてみた!
「独立して自分のジムを作りたい」
自分の城を持ちたい。それはパーソナルトレーナーの大きな夢や目標の1つではないでしょうか。
でも、手持ちの資金が少ない場合はどうしたらいいのか。果たして方法はあるのか、よく分からないという方も結構多いのではないかと思います。
そこで社会保険労務士法人井上敬裕事務所でコンサルタントを務める鈴木光さんにおいでいただき、ジム開業への道のりと、そのアドバイスを伺いました。
社会保険労務士とは?
労働安全衛生法に基づき、国と会社と従業員の間に立って、安心して働ける環境を作る。
賃金・退職金・労働時間・休暇・福利厚生・社会保険といった労働条件を整備していく仕事を行う。
会社での人事や雇用管理、経費削減についてなど、いわゆるお金(資本)についてのアドバイスができ、また実際の手続きを代行することができる。
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予算ゼロでも自分のジムが作れる!?
【資金はどうする?】
●本日は、パーソナルトレーニングジムの開業をめざすトレーナーのみなさんに、社会保険労務士(※以下社労士)が答えるという切り口で、鈴木さんにいろいろ質問をさせていただこうと思っています。
まず、開業するにあたってとりあえず必要なものは資金。開業資金・運転資金を準備するとなると、なんだかんだで500万~1,000万ほど掛かることもあります。
これらは自分で用意できなければ融資を受けるということになりますが、その際に最も頼りになる、利用しやすい機関はありますか?
鈴木「はい。新規事業者向けの資金調達の方法としては、日本政策金融公庫さんが一番オススメです。
というのも、国の方でここ数年ですね、事業性評価融資と言って、融資を受けるかたの担保や準備資金に関係なく、純粋に『その事業に対して融資価値があるかどうかの評価をして、お金を貸し付けなさい』って言う通達が出ているんです」
●つまり、手持ちの資金は限りなくゼロでも開業できるということでしょうか?
鈴木「そうです。いま我々の方でメインでお手伝いしてるのが、この金融公庫さんの中の新規創業向けの資金援助資金調達の商品で、中小企業経営力強化資金という貸付制度を主にご案内しています」
●国の制度なんですね。それは一人でジムを開く場合でも使えますか?
鈴木「使えます」
●でも審査とかはいろいろある?
鈴木「ありますね。例えば1,000万円の融資調達の申し込みをして開業したいという場合、準備する書類も沢山あるんです。
そして提出する書類、例えば事業計画書などの精度が低いと、希望額から減額されてしまうこともあります」
●個人でもやろうと思えばできるけれども、書類がしっかり書けたり揃えたりできないと減額されたり、そもそも審査が通らなかったりする。そうしたところで社労士さんが助けてくれるんですね。
【従業員や共同経営者がいる場合は?】
●では次に一人じゃない場合、従業員を雇う場合の注意点を教えていただけますか?
鈴木「はい。まず、経営者さんが従業員を雇用するうえで、個人・法人の境って、実はそれほどないんです。
順を追っていきますね。まず法人格だと、たとえ従業員を雇用していなくとも、代表者の方を従業員としてカウントしたうえで、社会保険の加入が実質義務付けられています。
でも個人事業主さんだと、パーソナルトレーナーさんは接客業にあたるのかな? 仮に接客業でなくても従業員数が5名未満であれば、社会保険に入る必要はありません」
●ひょっとして、業種によって異なるということですか?
鈴木「そうです。なので、パーソナルトレーナーさんの場合は社会保険に入る義務はないんです。もちろん任意で入ることも可能ではあります」
●なるほど。あとパーソナルトレーニングジムの場合、友人同士でジムを開くということも結構あるんですが、この場合は?
鈴木「その場合は共同経営という形になると思うんですが、厚生労働省の助成金制度を利用すれば、人を雇うことでお金をもらえるので、助成金制度を使いたい場合は、どちらかは従業員になっておくことをオススメします。
とはいえ諸事情あるとは思いますから、登記上、従業員兼務役員という手法もあり、そうした届け出をすることで雇用保険に入って助成金制度の対象にすることも可能です」
●2人や3人の仲間内でジムを開く場合でも、国から助成金が貰える! 手持ちのお金が少なくても、いろいろな方法があるということですね。
鈴木「そうですね、パターンはいろいろあります。その辺はヒアリングさせていただいて、個々説明させていただくという感じですね」
【社労士が力になれることとは?】
●社労士さんがお手伝いしてくれるものの中には、他にどういったものがありますか?
鈴木「大きく分けて3種類(ヒト・カネ・モノ)あるんですが、一つ目は先ほどの融資調達、金融公庫さんを含む金融機関への借り入れですね。
こちらは開業時や新規事業での設備投資というのがハマりやすいんですが、運転資金だけの調達も可能です。
二つ目は、先ほど従業員や共同経営者がいる場合で少しご説明しましたが、雇用に関する助成金。いま国がですね、労働者を正規雇用しなさいという動きがすごく強くなっているんです。
正規雇用というのは、いわゆる契約社員とかアルバイトではなくて、きちんと正社員として雇用するというようなルールですね。
これは厚生労働省の管轄で社労士事務所の独占業務でもあるんですが、正規雇用することによって経営者の方は負担が増えるので、その負担を軽減するために国から助成金がもらえるという仕組みになっています。
そして三つめは、補助金制度。
助成金は雇用するヒトに対する制度であるのに対し、補助金は主にモノに対する制度、設備投資とかに対して補助金がもらえるというイメージですね。
これは経済産業省が管轄で、数百万~数千万と補助額が大きいものもありますが、これらは各自治体市区町村含めると2,000~3,000種類はありますので….。それに加えて補助金のほとんどは審査型なので100%ではありません。
ですのでその辺りは、ハマりやすそうな助成金・補助金に、ハマりやすそうな要素を持ってくるという形になります」
●スペシャリストじゃないと選択が難しそうですが、とにかく助けになる国の制度が実はいっぱいあるんですね。
鈴木「あります。もちろんご自身で申請することができますが、正直言って結構大変だと思います。
助成金1つとっても、我々のお客様、例えば中小企業さんの人事担当の方でも申請経験のない方は、多分1か月の1/3とかはそれに時間を取られてしまったり、本業に差し支えてしまったりするかもしれません」
【社労士に頼むと、いくらかかるの?】
●ちなみに、社労士事務所にそれらをお任せすると、いくらぐらい掛かるものなのですか?
鈴木「我々への報酬は種類によりますが、資金調達額の1割~3割程度です。
ただこれは、厚生労働省や経済産業省に登録がある我々のような士業事務所の斡旋という約束のもとで申請をするので、そのメリットは非常に大きいと思います。
単純に税理士事務所とか社労士事務所だったり、資金調達を専門にしているコンサルティング会社さんとかいろいろあると思うんですが、どこも2割~3割程度が手数料の相場という感じです。
私が所属する法人は、ちょうど真ん中あたりですね。そして、顧問として関わるうえで、資金面でも全面的に複合的にサポートしていくので、必ず満足して頂ける自信があります」
●顧問の仕事は、今までに出た話題の全てに関わってくる感じでしょうか?
鈴木「はい。労務顧問をメインに、給与計算から保険手続き、融資調達や助成金補助金、横断的に経営者様のサポートをする仕事をさせていただきます」
●では最後に、ジムを開業したい方に向けて、メッセージをお願いします。
鈴木「はい。我々は資金調達というところに注目してスポットを当ててお手伝いさせて頂いてるので、お金のことで困ってらっしゃったりとか、開業当初はそんなに従業員の必要性ってないかもしれないんですけど、採用を考えたいとき。
そんな時は、是非ご相談頂きたいです」
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