理学療法士の役割とは?将来的に求められる役割も紹介
リハビリテーションの専門職であり、身体の動きのスペシャリストである理学療法士に求められる役割とはどのようなものでしょうか?
高齢化が進む現在社会において、現在求められている役割に加え、将来的に求められるであろう役割というものもあります。
ここではそんな理学療法士に求められる役割について、紹介していきます。
現在の理学療法士の仕事と役割
現在、理学療法士の就職先分布は、下記のようになっており、半分以上は医療関係施設であるのが現状です。
・医療施設 66%
・自宅または開業 18.5%
・介護関連施設 10%
・教育関連施設 2%
・児童福祉施設 0.6%
・障がい者関連施設 0.2%
ケガ・手術・加齢などが原因となって、動作や運動機能に障害が生じた人に対して、運動療法・物理療法を用いてリハビリテーションを行い、運動機能の回復をサポートすることが理学療法士に求められる主な役割になります。
人間の骨格や筋肉のつき方・動き方を熟知している理学療法士には、どの筋肉を鍛え、どこの関節の可動域を広げることで運動機能が回復するのかといったことを見極め、目指す運動機能を回復させるプログラムを組むことが求められます。
そのプログラムをどのくらいの強度で、どの程度の頻度で行うかといったことを指導するのも理学療法士の役割です。
年齢・性別・生活習慣・性格などによって、プログラムの選び方や強度や頻度を変える必要があります。それらを見極めるのも、大切な理学療法士の役割となります。
実際のリハビリテーションの現場では、なかなか前向きにリハビリに取組めないといった人もいるため、そういったケースのメンタルケアも理学療法士の仕事になります。
これまで普通にできていたことが、ある日突然ケガなどによってできなくなると、人は不機嫌になったり、なげやりになったりすることがあります。
八つ当たりをされたり、暴言を吐かれて心が折れたりする理学療法士も決して少なくありません。
しかしなぜ相手がそんな言動や行動をとってしまうのか、その気持ちを想像し寄添うことで、リハビリテーションが進む事はよくあるのです。
身体が思うように動かないという状態は、思っているよりもはるかに精神的にストレスがかかります。
その気持ちに寄添い、はげますことでリハビリに対して前向きな気持ちに変化させる事ができるのです。
また、見通しの立たない状況というのも人を不安にさせます。
いつまで不自由な状態が続くのか、いつになったら以前の生活に戻ることができるのか、見通せないままでいることは人の心を不安定にします。
リハビリ計画をできるかぎり明確に立て、いつまでにどこまでが可能なのか、どこまで回復できるのかといった見通しを立てられると理想的です。
いつも理想通りにリハビリは進まないと思います。そんな時でも、常にリハビリをする人の気持ちに寄添うことを忘れずにいられる、そんな理学療法士が今求められています。
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広がっていく理学療法士の仕事と役割
高齢化の進む日本社会において、加齢による運動機能の低下をいかに回復するか、運動機能の低下そのものをいかに防ぐか、は一大命題になっています。
健康寿命という言葉が使われるようになって久しいですが、世界的に見ても平均寿命の長い日本人の生活を、いかに健康な状態を持続して過ごせるかというのは大きな課題です。
現在はまだまだ病院や整形外科に勤務する理学療法士が多いですが、徐々に介護施設や老人ホームなどの高齢者施設で働く理学療法士の数が増えています。
高齢者関連の分野は、今後理学療法士の仕事として拡大していく可能性の非常に高い分野だといえます。
加齢による筋力の低下や関節の可動域が狭くなってしまった高齢者が、寝たきりになってしまうのを防ぐためのリハビリテーションやストレッチを行います。
他にも、寝たきりになってしまった高齢者の床ずれ防止のためのベッドサイドリハビリテーションまで、それぞれの症状に応じて行うリハビリテーションの需要が増えています。
そのほかにもケガや病気、発達の状態や障害のためにリハビリを必要としている子どももいます。2020年には日本初の「こどもリハビリテーション支援専攻コース」を開設する専門学校も登場し、子どもに特化したリハビリを専門的に学べる体制もできてきました。
子どもは大人の身体が小さくなったものではありません。子どもの身体を理解し、その身体に合ったプログラムを組む必要があります。
今後も子どもの身体を熟知した理学療法士の需要は増えることが予想されます。
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今後求められる理学療法士の役割
近年理学療法士に求められる役割に、メタボリックシンドロームや糖尿病などの成人病の予防があります。
健康診断などでメタボリックシンドロームと診断されたり、糖尿病のなどの予備軍に対して、今後それ以上病状が悪化しないようにしたり、健康体にもどしたりするためのサポートを行います。
メタボリックシンドロームや糖尿病の対策としてあげられるのが運動です。運動不足がメタボリックシンドロームや糖尿病を招いているケースも少なくないため、運動習慣を生活に取り入れるようなアドバイスも行います。
増えている役割の中に、高齢化によって日常生活で使う運動機能の低下が予想される人のリハビリテーションがあります。ケガや病気などに起因する運動機能の低下ではなく、現状できることができなくなる事態を予防するためのリハビリテーションです。
健康な人のための予防的理学療法の役割
2013年11月に厚生労働省医政局から出された通知に下記のように書かれています。
・理学療法士の名称の使用等について(通知)(平成25年11月27日)(医政医発1127第3号)
それまでの理学療法士の仕事の範囲は、1965年に公布された「理学療法士及び作業療法士法」第十五条によって下記のように規定されています。
理学療法士又は作業療法士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として理学療法又は作業療法を行なうことを業とすることができる。
2 理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマツサージについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第一条の規定は、適用しない。
・理学療法士及び作業療法士法(昭和40年6月29日)
ここでは病気やケガなどによって運動機能に障害のある人に対して行う理学療法の事であって、健康な人が予防的に行う理学療法については言及していません。
それを新しく定義したのが、平成25年に出された理学療法士の名称の使用等について(通知)であり、健康な人に予防的に行う理学療法については、医師の指示なく理学療法士が行ってもいいという通知でした。
これにより理学療法士の新しい役割として、健康な人が将来の予防のために行う運動などについて、理学療法士の知識や経験が活かせるようになったのです。
このことから糖尿病の予防や、メタボリックシンドロームなどの予防や解消のために、理学療法士として指導することが可能になりました。
フレイルの予防とフレイルからの回復に役立つ理学療法
フレイルという言葉を聞いたことはありますか?
フレイルとは2014年に日本老年医学会が提唱し、普及させてきた概念です。
「虚弱状態」と言われることもあり、健康な状態からプレフレイルを経てフレイルとなり、要介護の状態へと移行していくという考え方で、プレフレイル・フレイルの状態からは健康な状態に戻ることができると考えられています。
「虚弱状態」とは、加齢による筋力低下・食欲の低下による低栄養・認知機能の低下・理由のない倦怠感などの病気というほどではない症状のことで、これらがだんだんと悪化し、介護の必要な状態へと移行していきます。
プレフレイル・フレイルの状態にならないために、フレイルの状態から健康な状態に戻すためにも、理学療法士の知識が求められています。
フレイルは、サルコペニアやロコボティブシンドロームと同様に、筋力低下や栄養状態の悪化に起因して起きる症状です。
定期的な運動や、食事・栄養指導などによって防げる可能性が高く、そのための運動療法の指導を行うことも、今後理学療法士に求められる役割です。
・現在、介護関係の高齢者施設での需要が高まりつつある
・子どものリハビリテーションに特化した知識を持つ理学療法士が求められている
・今後は健康な人に向けた予防的リハビリテーションの需要が増えることが予想されている
某情報誌とサイトの編集者として15年以上勤務し、自身も編集者時代からダイエットとリバウンドを繰り返した経験を持つエディター兼ライター。現在はダイエット関連の記事を400本以上担当しつつ、3児の母として日々育児に奮闘している。