スポーツ栄養士とは?仕事内容となり方まとめ
スポーツ関連の業界には様々な資格があります。その中でも、スポーツを行っている方々にとって栄養管理とは非常に密接な関係があるものと言えます。そんなスポーツに特化したアドバイスができる栄養士について今回はご紹介していきます。
1)スポーツ栄養士とは?
スポーツ栄養士とは平成20年度より国庫補助事業として、「公認スポーツ栄養士」の認定制度がスタートしました。認定は生涯スポーツの普及振興やスポーツ選手の競技力向上を目指す「日本体育協会」と、管理栄養士・栄養士により組織された職能団体である「日本栄養士会」が行っています。2つの組織団体による資格承認になるため、栄養学とスポーツに特化した資格を取得と言えるでしょう。
資格概要
「公認スポーツ栄養士」とは、地域・広域スポーツセンター・各競技のトレーニング拠点等において、競技者に対する栄養管理業務全般を実施することができる知識とスキルを身に付けた管理栄養士です。認定は(公社)日本栄養士会と(公財)日本体育協会が共同で行います。
資格保有者の人数
公認スポーツ栄養士は、2017(平成29)年10月現在、253名が認定されています。
資格保有者の就職先
スポーツ栄養士の資格を持つ方々の勤務先は、広範囲にわたります。ランキングが特定非営利活動法人スポーツ栄養学会から発表されているので確認していきましょう。
(1)資格保有者の就職先ランキング
1位「研究教育機関(大学・短大・専門学校)」 36名(24.5%)
2位「フリーランス」 24名(16.3%)
3位「委託給食会社」 14名(9.5%)
4位「病院・診療所」 13名(8.8%)
5位「行政(都道府県・市町村、保健所・市町村保健センター)」 10名(6.8%)
(2)ランキング外の就職先
・スポーツチーム(直接契約)
・食品メーカー
・開業
・幼稚園、保育園、小・中・高校
・官公庁
・健康増進(科学)センター
・社員、学生食堂、寮の食堂
・社会福祉、介護施設
・飲食店・レストラン
・矯正施設
・民間フィットネスクラブ
などがあげられます。
トレーナーエージェンシーでは、
・トレーナーとして必要な素養
・具体的なトレーナーの働き方
・おすすめの資格
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2)スポーツ栄養士の仕事内容
先ほどのランキングでも上げた通り、スポーツ栄養士といっても働き方は様々です。働く場所や環境に応じて仕事内容も少しずつ変わってきます。
スポーツ選手に関わる働き方
アスリートが競技において、最高のパフォーマンスを発揮して競技力を向上するために、栄養などの食事の観点から指導に携わることができます。主にスポーツチームの施設の中で提供する食事メニューの作成などを行います。また、アスリート個人の専属としてメニューを作成したり、場合によっては調理師免許を取得し、メニュー作成から調理まで行う方もいます。
病院やフィットネスジムに関わる働き方
病院などでリハビリを行うアスリートから、一般の方々に向けてメニューの作成を行ったり、面談を重ねた上で相談に乗ることもあります。また、フィットネスジムでは運動だけではなく食事の管理もしたいというニーズに答えるべくスポーツ栄養士の方々がメニューの作成や提案を行ったりします。
学校指導での働き方
教育現場において栄養指導を行う働き方です。高校や大学はもちろんですが、ジュニア期のころに食育をすることで正しい知識を身に着けることができるようになり、結果的に将来の病気やケガのリスクを回避することに繋がるサポートをすることができると言えます。
3)スポーツ栄養士になる方法
スポーツ栄養士になるためには必要なステップがいくつかあります。どんな方でも受けられる資格ではないので、しっかり確認していきましょう。
スポーツ栄養士の審査に必要な資格
1.管理栄養士であること。
2.公認スポーツ栄養士養成講習会を受講しようとする年度の4月1日の時点で満22歳であること。
3.スポーツ栄養指導の経験があること、またはその予定があること。
4.日本スポーツ協会と日本栄養士会が定めた者。
認定されるまでの流れ
1.日本スポーツ栄養学会のスポーツ栄養ベーシック講習会を受講
2.日本スポーツ栄養学会へ必要書類を提出
3.受講決定通知を受領後、公認スポーツ栄養士養成講習会を受講
4.共通科目Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの検定試験を受験
5.専門科目集合講習会を受講
6.専門科目検定試験を受験
7.公認スポーツ栄養士に認定
認定期間や更新期間について
(1)認定期間
資格の有効期間は認定日より4年。
(2)認定の更新
認定資格の有効期限が切れる6か月前までに日本スポーツ栄養学会が認める研修会を受講し、更新の申請を行う。
必要費用について
・受講料(共通科目と専門科目)
・資格認定登録料(基本登録料と資格別登録料と初期登録手数料)
・更新登録料(基本登録料と資格別登録料)
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4)スポーツ栄養士の給与
スポーツ栄養士の給与情報は、資格自体が新しいもののため(平成20年度~)明確な給与情報はありません。ですが、スポーツ栄養士の資格を保持している方への優遇や、資格手当による上乗せもありますので、一般的な栄養士の年収350万円(月収17万円~)にプラスされた給与がスポーツ栄養士の給与と予測されます。
もしくはフィットネス系の施設で働く場合はフィットネスジムのインストラクターの給与にプラスされた給与が与えられるともいえます。働く場所や環境によって大きく給与が変わってきますので、就職する際には業界の年収がどの程度なのかをしっかりと把握しておく必要があると言えるでしょう。
5)スポーツ栄養士のQ&A
スポーツ栄養士について仕事内容やなり方について説明してきました。
ここではそれ以外のスポーツ栄養士についての質問にお答えします。
【Q1】スポーツ栄養士になるには大学に必ず通わなければならない?
スポーツ栄養士になるためには、必ず大学に通わなければならないといけないということはありません。しかし、管理栄養士の資格を取得していなければスポーツ栄養士の資格を取得することはできませんので、管理栄養士の資格がなければ大学に通う、もしくは養成校に通う必要があります。
【Q2】スポーツ栄養士のメリットはなんですか?
通常の栄養士より、スポーツの現場での活躍が多くなると言えます。管理栄養士にもいえることですが、栄養士の資格があるとさまざまな分野で働くことが出来ます。
その中で調理系になるのか、管理部門になるのかは本人の希望次第ですが、管理部門だとなかなか就職に繋がらないということも現実的な問題としてあります。ですので、難易度は高くなりますが、スポーツ栄養士の資格を取っておくと、アピールできるポイントも増えることによって就職でも有利に働くことが考えられます。
【Q3】スポーツ栄養士の資格は簡単?
資格としてはハードルが高いと言えるでしょう。なぜなら管理栄養士としての資格が必要というところより、スポーツに関する運動生理学などの知識も豊富でなければ取得が難しいからです。試験を受ける際には、しっかりと対策を行うことが大切と言えます。
【Q4】スポーツ栄養士に必要な能力とは?
栄養に関する知識はもちろんですが、スポーツに特化するという意味で、種目別に応じた必要な栄養素や不足しがちなもの、摂取の方法などを詳しく理解しておく必要があります。また、選手とコミュニケーションをとりながら指導をする形になるので、指導力はもちろん、コミュニケーション能力を高めておく必要があると言えます。
スポーツ栄養士の資格は非常に難易度の高い資格だといえます。また、費用も多くかかり時間も要するため資格取得者の割合はまだ限られています。その分、資格取得後には働き方は様々な可能性があるので、将来に期待できる資格の1つと言えるでしょう。