柔道整復師になるには?方法や学費、活躍できる職場を解説!
国家資格として認められている柔道整復師は、整体師などの民間資格とは異なり、骨折・捻挫・ケガ・身体の不調などを、手技だけで治せるスペシャリストです。人の身体に直接触れる柔道整復師には、たしかな技術や多方面における知識が必要とされるため、専門的に学ぶ必要があります。
しかし、専門知識・技術を学べる場所がわからないという人も少なくないでしょう。そこで今回は、柔道整復師になるための方法や学費、活躍できる職場などについて詳しく解説します。
柔道整復師になるには?
ここでは、柔道整復師になるための条件を詳しく解説します。
指定の大学(短大)・専門学校を修了
柔道整復師になるには、厚生労働大臣が認定した3年制以上の専門学校、文部科学大臣が認定した柔道整復学科のある4年制大学や3年以上の短期大学を卒業する必要があります。一般的な専門学校は2年制が多いですが、柔道整復師になるには最低でも3年間学ばなければなりません。
独学や通信教育などで柔道整復師になる事はできないため、指定された学校を卒業していない社会人は、大学もしくは専門学校に入学する必要があります。
国家試験に合格して免許を取得する
柔道整復師の国家資格を取得するためには、毎年3月に実施される国家試験に合格しなければなりません。この試験を受けるためには、以下の2点を満たしている必要があります。
柔道整復師養成施設として認定された専門学校や大学、3年以上の短期大学で必要な単位を取得している事
在学中に「認定実技試験」に合格している事
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柔道整復師の難易度
柔道整復師は、さまざまな知識や手技が求められる職業ですが、国家試験の合格率はどのくらいなのでしょうか。ここでは、柔道整復師国家試験の難易度を詳しく解説します。
柔道整復師試験の合格率
柔道整復師試験の令和2年度の合格率は64.5%です。
この試験は、まず大学・短大・専門学校で在学中に実施される「認定実技試験」に合格し、卒業しなければ受験資格が与えられません。ですから、難関試験というほどではないものの、大学や専門学校などで3年以上学び、しっかりと知識や技術を身につける事が必要となります。
柔道整復師試験は難化傾向にある
柔道整復師試験が始まった当初(平成4年度)は合格率が90.3%となっており、ほかの医療系国家資格よりも取得しやすい資格といわれていました。
しかし、現在はカリキュラムの改訂により必要な総単位数が増加し、試験問題の質と量が上がっている事から、合格率がやや低下している傾向が見られます。実際、近年の柔道整復師試験の合格率は以下のように推移しています。
平成29年度 合格率66.7%
平成30年度 合格率70.2%
令和元年度 合格率59.1%
令和2年度 合格率64.5%
このように、以前の合格率から20~30%ほど低下しています。とはいえ、学校でしっかりと学んで試験対策をすれば、十分に合格を狙えるでしょう。
柔道整復師になるにはどのくらいの費用がかかる?
柔道整復師になるためには、少なくとも3年間は所定の養成施設に通う必要があります。そうなると、資格取得までどのくらいの費用がかかるのかが気になるでしょう。
柔道整復師になるまでにかかる、学費・下宿費用・通学費用を紹介します。
大学・短大・専門学校にかかる学費
4年制大学や3年制の短大・専門学校に通う場合、かかる費用は大学で400~500万円程度、専門学校で300~400万円程度です。
4年制大学は3年制の短大・専門学校に比べると、学費を1年分多く支払わなければならず、総合的な費用が高額になりやすい傾向があります。
一人暮らしをするためにかかる費用(アパート・下宿の場合)
「平成28年度学生生活調査結果」によると、大学昼間部に在籍し、アパートや下宿で一人暮らしをする学生の年間出費は約100万円です。この金額には家賃や光熱費・食費などもすべて含まれています。
なお、この金額は4年制の大学に通う学生のデータなので、短大や専門学校の場合は期間が1年短い分、もう少し金額を抑えられるでしょう。
自宅から学校に通う際にかかる費用
同じく「平成28年度学生生活調査結果」によると、大学昼間部に在籍し、自宅から学校に通う際にかかる年間費用は約41.6万円です。一人暮らしと比較すると家賃や食費を抑えられるため、かかる費用も安くなります。
学生のなかには、大学や専門学校などに進学するタイミングで車やバイクを購入する人も増えるため、車の購入費やガソリン代・メンテナンス費用にまとまったお金が必要になる事も珍しくありません。
柔道整復師になるための適正
柔道整復師に向いている人には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、柔道整復師に向いている人について詳しく解説します。
身体や健康についての学習意欲が高い
柔道整復師の仕事は、手技によって人の身体の不調を回復させる事です。
そのため、身体や健康についての学習意欲が高く、新しい知識や技術に対しても積極的な姿勢を持てる人が柔道整復師に向いています。
手先が器用
マッサージ・テーピング・脱臼の治療など、柔道整復師は基本的にすべて自分の手で治療をおこないます。
指先を細かく動かせたり圧のかけ方が上手だったりと、手先が器用な人だと柔道整復師としての治療をスムーズにできるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
柔道整復師は豊富な知識や手先の器用さはもちろん、患者との信頼関係を築けるコミュニケーションスキルも必要です。
柔道整復師が接する人は、どこかに不調を抱えていたり改善したい症状があったりする場合が多いものです。相手の痛みに寄り添い、悩みをしっかりと聞き出せるようなコミュニケーション能力を持っている人は、メンタル的にも患者をサポートできるため柔道整復師に向いています。
清潔感のある人
柔道整復師は、患者の身体に直接触れる仕事です。ケガや不調の治療は長期間におよぶ事が多いため、清潔感のある人だと患者も安心して通えるでしょう。
柔道整復師として信頼してもらうためには、まずは身なりを整える事から始めてみてください。
人の役に立ちたいと感じられる人
「人の役に立ちたい」という気持ちが強い人は、患者の不調を改善する使命を持った柔道整復師に向いています。
自分の手技によって患者が抱えている痛みや不調が改善された瞬間は、柔道整復師が最も充実感を得られる場面の1つです。
「ありがとう」の言葉にやりがいを見出せる人は、それだけで柔道整復師としての素質があるといっても良いでしょう。
柔道整復師の資格取得後に働く事のできる職場
一口に柔道整復師といっても、活躍できる場所はさまざまです。ここでは、柔道整復師として働く事のできる職場について解説します。
整骨院・接骨院
柔道整復師として最も多い就職先は、整骨院や接骨院です。整骨院や接骨院では、実際の施術を通して手技を磨いたり、患者との接し方を学んだりして実践力を養えます。
整骨院・接骨院では集客方法や経営に関する知識を身につけられる可能性もあり、将来的に独立を考えている人に適した職場といえるでしょう。
病院
病院では、整形外科やリハビリテーション科で配属される事が多くあります。医師や理学療法士と連携を取りながら、リハビリや整復補助をおこなう事がおもな仕事です。
柔道整復師の知識や技術はこれらの科で最大限に発揮できるため、病院での活躍が期待されています。
ただし、病院で働けるかどうかは医師の判断によって決まり、希望の病院では勤務できない可能性もあります。
介護施設
日本の高齢化が進んでいる事から、老人ホームやデイサービスなどの介護施設において、柔道整復師の需要が高まっています。
介護施設などでは「機能訓練指導員」として勤務する事となり、施設の利用者に対する運動指導・リハビリ・マッサージなどがおもな仕事です。
スポーツ施設・事務・スポーツチーム
捻挫や脱臼の治療・テーピング・リハビリ指導・手法による体調不良の治療など、柔道整復師の知識やスキルを活かして、スポーツジムやクラブチームでトレーナーとして活躍するケースもあります。
アスレティックトレーナーなどの民間資格を取得すれば、さらに専門性が高まり、活躍の場が広がるでしょう。
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まとめ
柔道整復師になるには、厚生労働省認可の大学・短大・専門学校のいずれかを卒業し、在学中に実施される実技試験に合格したあと、国家資格に合格する必要があります。試験の難易度は、以前よりもやや高くなっている傾向にありますが、学校でしっかりと学べば一発合格も十分に可能です。
資格取得後は、整骨院・病院・介護施設・トレーニングジムなど、さまざまな活躍の場があります。将来のビジョンを、今から考えてみるのも良いでしょう。