インストラクターとはどんな仕事?6種類の指導内容を総まとめ
スポーツが好きな方ならなじみのある、インストラクターという職業。でも、レッスンで会う時以外のインストラクターは、どんなお仕事をしているのでしょう。インストラクターとはどんなお仕事でしょう。仕事内容、6種類の資格に沿った指導内容等をご紹介します。
1)インストラクターとは
フィットネスクラブやスポーツ教室などに運動の場には、必ずと言っていいほどいる、インストラクター。運動を指導してくれる人、という漠然とした理解から一歩進んだ、インストラクター像をご紹介します。
インストラクターについて
(1)言葉の定義
インストラクターとは、「教授者」「指導者」を指すinstructorという英語を語源とする言葉です。日本語で、カタカナ表記のもと使用する場合は、人を指導する職業にある人を指します。略して「イントラ」と呼ばれることもあります。
(2)インストラクターの条件
インストラクターは人を指導する職業なので、指導しようと思う分野で一定以上の技能がなければなりません。また、指導する相手の学ぶ姿勢を大切にし、安全確保や学習・習得意欲の維持向上のサポートもできなければなりません。
スポーツインストラクターについて
(1)スポーツインストラクターの使命
スポーツインストラクターの場合は、指導する内容がスポーツに関わることになります。様々な種目、スポーツの名を冠したインストラクター職がありますが、共通していることは、科学的に裏付けられた正しいトレーニングメニュー、楽しく運動できる環境を提供することです。
(2)スポーツインストラクターの仕事
スポーツインストラクターは運動を指導する「指導者」ではありますが、職業としては接客業、サービス業という側面もあります。コミュニケーションをしっかりとり、相手との信頼関係を築くことで、楽しく運動してもらう、指導を喜んで受け容れてもらうことができるようになるのです。
(3)スポーツインストラクターの責任
近年健康維持への関心が高まっていることもあり、運動を楽しむ人は増え続けています。年齢層も幅広く、シニア層の運動愛好者は今後も増加する見込みです。このような現状、そして今後の見通しから、運動指導に当たるインストラクターには安全への配慮、安全管理の知識や技能が強く求められ始めています。年齢や体力、運動する目的や希望に沿った、無理のない適切な指導が求められる風潮は、これからもますます強くなってゆくでしょう。
インストラクターは指導者全般を指す言葉なので、スポーツ施設にいるインストラクターは厳密には「スポーツインストラクター」と呼ぶのが良いようです。運動指導だけでなく、トレーニングメニューやプログラムの作成、安全管理や、さらにはスポーツを楽しむ環境を提供するためのコミュニケーション能力も求められる存在です。
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2)インストラクターとトレーナーの違い
運動指導をしてくれる人、というと、インストラクターと並んで、トレーナーという言葉を思い起こす方もいるのではないでしょうか。トレーナーも運動指導をしてくれますが、それでは、インストラクターとトレーナーという言葉は、どのように使い分けられているのでしょうか。
トレーナーとは
(1)言葉の定義
トレーナーとは「訓練をする人」を指す英語の「traier」を語源とする言葉です。日本語としてカタカナで使用する場合には、一般人から選手までの様々な種類のスポーツ愛好者や競技者に対し、技術指導や健康、体調の管理・指導をする職業の人を指します。
(2)トレーナーの条件
「トレーナー」の語をスポーツトレーナーとして使う場合には、栄養やメンタル面の指導管理、応急処置やリハビリなど、インストラクターが担うものよりもより専門的、且つ幅広いサポートが行えることが前提となります。
違いを知る
(1)求められる能力
栄養やメンタル、応急処置やリハビリなどの競技者サポートのための知識が求められるのがトレーナーですが、インストラクターに求められるものは、スポーツそのものの指導です。運動方法や練習メニューなどスポーツの実技に関わる知識が必要であるとともに、一緒にプレーしながら指導するケースを前提として、一定の運動神経や運動能力も求められます。
(2)活躍できる場所
トレーナーはサポート的な立場から個人のパフォーマンス向上に関わることができ、スポーツチーム等で必要とされる職種です。フィットネスクラブやスポーツクラブで仕事をするケースももちろんありますが、それらの施設での指導には、グループレッスンを主に担い利用者とともに身体を動かすことができる、インストラクターの方が向いてます。
(3)資格の系統
ケアやサポートに従事するトレーナーには、医療系の資格が求められます。国家資格となる理学療法士や柔道整復師、民間資格でもアスレチックトレーナーなど、怪我の予防やリハビリテーションの知識を保証する資格が有益です。翻ってインストラクターは、ヨガ、ピラティス、エアロビックダンスからスキーや水泳などの種目ごと、または運動全般に関する包括的な指導知識を認める多種多様な民間資格があります。
運動指導以外にも競技者のケアやサポートなど、個人と特に向き合うトレーナーに対し、インストラクターは、運動指導、特に集団に対する実演を交えた指導を重視する、という点が大きな違いになります。より運動の楽しさを伝え得るのがインストラクター、という言い方もできるでしょう。
3)インストラクターの仕事
運動指導、特に集団に対する実演を交えた指導を行うインストラクターですが、具体的には、どのような役割が求められるのでしょうか。インストラクターの仕事内容、世間の評価や将来性について見ていきます。
内容
(1)スポーツ指導
インストラクターは、主にフィットネスクラブやエアロビックスタジオ、スポーツ教室や福祉施設等で、主にグループレッスンに携わります。内容も、音楽を使う、またはゲーム的な楽しみを取り入れる、自分自身もスポーツに参加するなど、指導対象者が楽しく身体を動かせるよう工夫することも、指導の際に大切な要素となります。
(2)健康サポート
運動をしようと思うきっかけは人それぞれではありますが、身体を動かすことで心身の健康の維持、向上を求めるケースは非常に多いものです。無理のない正しいトレーニングで、安心安全にスポーツの爽快感を味わってもらうことが大切です。
同時に、コミュニケーションをとり信頼感を得ることで、運動の場そのものを好きになってもらう努力も必要です。特に高齢者は年齢とともに社会的なつながりが薄くなるケースが心配されており、スポーツを媒介とした仲間づくりは心のケアにも有効であることが認められています。
(3)やり甲斐作り
身体を動かすことを覚えてくると、スポーツそのものにやり甲斐や楽しさを見出すこともできるものです。指導対象となる生徒たちのスキル上達の様子、また、楽しさや感謝を伝えてくれる言葉は、生徒自身のやりがいだけでなく、インストラクターのやり甲斐にもなるでしょう。
将来性
(1)インストラクターの現状
フィットネス施設インストラクターとしての社員の平均月収は、17〜19万円と言われています。年収200万円ほどで賞与分がプラスされる程度と給与面では優遇されているとは言えませんが、実績を積みベテランと見做されるようになれば、月収30万円ほどまでは望めるというのが一般的な見方です。
フリーランスやスポーツ教室運営など、工夫次第で収入を向上させることは可能ですが、現状では、給与的には恵まれているとは言い難い一面があります。
(2)インストラクターの将来
現状では恵まれているとは言い難いインストラクター職ですが、高齢社会の進行による介護予防の必要性の増加、健康意識の向上によるスポーツ愛好人口の増大など、今後は需要が高まることが予想されています。フィットネスクラブなどの商業スポーツ施設、キッズやシニアまでの幅広い年齢層に対するスポーツ教室やカルチャー教室、さらには医療介護業界で活躍が見込まれるレクリエーションインストラクターなど、活躍できる場、求められる知識や資格は今後もさらに増加、多様化してゆくでしょう。
(3)長く続けるために
スポーツインストラクターを長く続けて行くためには、やはり身体を動かすことが好きであることは大切な条件です。加えて、接客業であることを意識し、積極的にコミュニケーションをとれる社交性も必要です。さらに忘れてはいけないことは、インストラクターは概ね同じような内容を繰り返し指導し続けることになるという現実です。同じ内容を何度も反復して飽きない根気強さ、個々の生徒と向き合い、同じような行程をたどりながら成長、上達してゆく様子を一緒に喜べる共感性を持ち続けることが大事です。
スポーツインストラクターという職種は、好待遇とは言い難いのが現状です。とは言え、今後は、介護予防施策の浸透などを通して必要性が増すこと、活躍の場が広がることが期待されます。生徒の運動技術の上達、身体機能の向上を一緒に喜ぶことのできる共感性があれば、給与だけでは購えないやり甲斐を感じることもできる点は、インストラクター職の魅力です。
4)インストラクターの種類
スポーツの種目の数だけあり得るインストラクター職ですが、特にフィットネス業界で働こうとした場合には、幾つの種類に分けられるのでしょうか。フィットネスクラブ等スポーツ施設で働くインストラクターの指導資格認定を主な活動とする、公益社団法人日本フィットネス協会が定めた分類をもとに、見てみましょう。
公益社団法人日本フィットネス協会とは
(1)概要
1980年代のエアロビックダンスの流行、フィットネスクラブの登場を機に、エアロビックダンスを健全に普及・発展させることを目的に設立された日本エアロビックフィットネス協会を前身として、健康寿命の延伸が望まれる今日、フィットネスを通じて対象者の特性やニーズに応じた適切な運動プログラムを作成し指導できる質の高い指導者を育成することを目的に活動している団体です。
(2)認定資格
エアロビックダンスを中心に、フィットネスシーンで役立つ各種指導資格を認定しています。特にGFI(グループエクササイズフィットネスインストラクター)資格は、フィットネスクラブ、地域のスポーツ施設や医療・福祉分野、教育分野等で活用されることを前提とした、集団に対する運動指導に特化した資格となっています。
インストラクター資格の分類
(1)SE(ストレッチングエクササイズ)
ヨガやピラティスなど、屋内でも屋外でもできるストレッチ的なエクササイズを主に指導するための専門資格です。関節に対する働きかけを重視し、柔軟性を高め関節運動を円滑にすることを目的にしたエクササイズを指導します。姿勢を整え、筋肉のこわばりをとくことで、リラクゼーション効果を誘導します。
(2)RE(レジスタンスエクササイズ)
筋肉トレーニング、コンディショニング、ロコモ予防など、屋内屋外で実施できる筋肉運動を主に指導するための専門資格です。筋力低下や骨粗鬆症を防止するとともに、基礎代謝向上が期待できるなど、健康維持や病気の防止に役立つ運動効果を与えることを目的としています。
(3)AD(エアロビックダンスエクササイズ)
主に室内で行われる音楽を使ったダンスエクササイズを中心とした、全身運動を指導するための専門資格です。ダンスエクササイズ指導では集団を動かす指導力、実演のための運動能力が求められます。音楽による全身運動は、スムースで明瞭な動きを実現する運動能力、持久力を向上させる効果が見込まれ、生活習慣病予防やストレス解消などに活用されているジャンルです。
(4)WE(ウォーキングエクササイズ)
最も身近な運動である「歩く」という動作を、健康増進に活かすためのメソッドとして用いるための指導者資格です。正しい姿勢で歩くことによる傷害予防、速足歩きやリズムウォーキングを取り入れることによる体脂肪燃焼や精神疾患予防の効果が期待できるエクササイズです。屋外だけでなく、屋内でも実施可能な方法を指導します。
(5)AQW(アクアウォーキングエクササイズ)
抵抗、浮力、水圧、水温といった水の特性を効果的に利用した、特に下肢の負担の少ないエクササイズを指導する専門資格です。水中歩行コースを設けているプールでも歩行指導ができるインストラクターは少ないため、中高年から高齢者の運動ニーズが増える中で今後注目されることが期待される資格です。
(6)AQD(アクアダンスエクササイズ)
水の浮力の中で行う、ダンスを始めとしたエクササイズを指導する専門資格です。音楽を利用し、陸上よりも負荷の少ない水中という環境でエクササイズを指導します。浮力によるリラクゼーション効果が見込めるとともに負荷軽減効果も期待でき、幅広い年齢層を対象とした、的確で安全な指導を目指します。
フィットネスクラブ等スポーツ施設ではプールを備えているケースも多く、陸上運動のみならず、水中運動の指導に携わるインストラクターも必要です。公益社団法人日本フィットネス協会では、陸上運動を4種類、水中運動を2種類に分け、インストラクターの指導内容を全部で6種類に分類し、それぞれの指導資格を認定しています。
トレーナーエージェンシーでは、
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5)インストラクターを目指す人のためのQ&A
【Q1】理想的なインストラクター像を教えてください
明るく元気、思いやりのあるインストラクターが好まれるのは、全年代で共通です。スポーツをしようと思う人の事情や目的、目標はそれぞれです。また、運動技能や肉体の機能も個人個人で違うもの。
グループレッスンであっても利用者個人と向き合い、同じ目線でコミュニケーションが取れると良いですね。また、実演などレッスンへの参加の際には、自分が楽しむことでクラス全体を盛り上げ、楽しい時間を共有できるように心がけることで、一般的に理想とされるインストラクター像に近づくことができるのではないでしょうか。
【Q2】正社員のインストラクターは、レッスン以外の仕事もある?
フィットネスクラブの正社員としてインストラクターの仕事に携わる場合は、担当クラスのレッスン以外にもさまざまな仕事をするケースが多いようです。プログラムメニューの作成や顧客情報の管理のほか、施設内の清掃なども行います。また、トレーニングマシンを設置している場合は、グループレッスンのインストラクター以外にもトレーニング用のマシンの使用法を指導するマシンインストラクターなどもおり、兼任しているケースもあるようです。
【Q3】フリーのインストラクターはどうやって仕事を得ているの?
定期的に開催されるフィットネスクラブ等スポーツ施設のオーディションを受けてレッスンクラスの担当枠を得る、縁故を利用して仕事を紹介してもらう、というパターンが多いようです。自宅や貸しスタジオ、地域のカルチャー教室などのスペースを利用して自身で運営するクラスを開講する、という手段もあります。その場合は、自ら宣伝をするなどの積極的な営業活動が必要になります。
運動指導をしている姿が一般的に目につくスポーツインストラクターですが、レッスンクラスで身体を動かす以外にも、実際はさまざまな仕事をしています。レッスン種目を兼任しているケースもあり、一つの運動だけができれば良いというわけでもありません。
とは言え、公益社団法人日本フィットネス協会ではインストラクターの指導内容を6つに分類して指導資格を設定しており、ある程度の専門化がなされていることがわかります。今後より一層需要の高まるであろうインストラクター職だけに、指導内容の細分化には注目すべきかもしれませんね。
ジムインストラクターとして実際に働くとなると、どんな目的でどんな環境で働くのかが大事になってきます。
あなた自身に最適な環境を選び、目的をしっかり持ってトレーナーとして活躍してください。