職業 資格 作業療法士 理学療法士

理学療法士の就職先は増えている?今後期待される需要

日本社会の高齢化にともない、需要の増えている理学療法士。養成校が増えたこともあり、その人数も増え続けています。
では増え続ける理学療法士の就職先はどうなっているのでしょうか?
需要の増加とともに、就職先も本当に増えているのか?実際の就職先にはどんなところがあるのか、紹介していきます。

理学療法士の就職先

2019年3月末現在、日本全国の理学療法士の数は199,525人(※1)です。
この統計データからもわかるように、理学療法士の就職先として一番多いのは一般病院です。
※1・統計情報 – 公益社団法人 日本理学療法士協会

総合病院やその他の病院や診療所を合わせると、66%以上の理学療法士は医療施設に就職しています。
理学療法士の就職先の割合としては、

医療施設     66%
・自宅または開業  18.5%
・介護関連施設   10%
・教育関連施設   2%
・児童福祉施設   0.6%
・障がい者関連施設 0.2%

上記で97%以上を占め、残りはスポーツ関連分野や、行政関連施設といった分布になっています。
ではそれぞれの就職先での仕事はどのような内容になっているのでしょうか。

 

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医療施設

現在の理学療法士の就職先として、半数以上の理学療法士が働く医療施設は、患者の容体によっていくつかの段階に分かれており、それによって担当する病院が変わってきます。
それぞれの病院の担当区分によって、理学療法士の仕事内容も変わってくるので、その区分と仕事内容について紹介します。

急性期病院

救急で運ばれて来た患者が治療を受けたり、高度な医療技術を必要としたりする治療・手術を行う病院です。
地域でも中核をなすような総合病院などが多く、最先端の医療技術が集約されるように、集まる人材も優秀な人が多い傾向にあります。そのため自身のスキルを高めたいと考える人や、高いレベルで理学療法士の仕事をしたいと考える人には向いている就職先といえます。

ここで求められる理学療法士の仕事は、病気の合併症を防ぐことや安静にしている必要のある患者の呼吸や脈拍などの管理をしながら、ムリのない範囲で行えるリハビリメニューを、医師と相談しながら行うことです。

手術後や病後に長く寝たままでいると、筋力低下などにより、身体機能の低下をまねいてしまいます。それを適切なメニューを作成することで防ぐことが、急性期病院で理学療法士に求められる仕事になります。

 

回復期病院

急性期を乗り越えて、病状やケガの状態が落ち着いて来た患者が多い病院です。とはいえまだ合併症のリスクがあったり、直ちに退院ができる状態でなかったりする患者が対象になります。
ここでのリハビリの目的は、病気やケガの前の状態で退院して、日常生活に戻り社会復帰をさせることです。

運動療法を主軸に、歩くことが困難になった患者に歩行訓練をおこなったり、マット運動やボールを使った運動などをおこなったりすることによって、運動機能の回復をはかります。
また病気やケガによって車いすを使う生活を今後送ることになった患者に対して、車いすの使い方を指導するのも、理学療法士の仕事です。

その後退院のメドが立った患者に対して、家屋評価または家屋訪問といわれる自宅の調査を行います。
これは理学療法士のほか作業療法士や看護師などとともに、退院後に生活する自宅を訪問し、手すりの必要性はないか・問題になるような段差はないか・お風呂やトイレの利用に問題は起こらなそうか、などについて評価していく作業になります。

退院後の生活を想定してリハビリを行うためであり、退院後の生活がしやすいように、手すりなどの必要な個所を提示し、退院後の準備を患者の方でも可能にするためでもあります。

 

I型・Ⅱ型・医療外付け型(旧 療養型医療施設)

また2017年に廃止が決まった療養病床に変わって、2018年4月からスタートした下記の3種類に分類が変更になりました。現在は移行期間中であり、2023年までに療養病床は全面廃止の予定となっています。

Ⅰ型
高齢者の中でも比較的重度の要介護者を対象としており、ターミナルケアも視野に入れた介護療養型医療施設。位置づけとして医療施設のため、医療的なケアは充実しており、機能訓練なども充実しています。機能訓練などのために、理学療法士や作業療法士もリハビリテーションスタッフとして数多く働いていますが、重度の要介護者の多い施設のため、リハビリの内容はベッドサイドリハビリテーションが中心になりやすい傾向があります。

Ⅱ型
Ⅰ型に比べて容態の安定している高齢者を対象としており、療養・リハビリなどを経て3~6か月で自宅に戻ることを目的にした介護老人保健施設。理学療法士や作業療法士がリハビリテーションスタッフとして常駐し、自宅での生活に支障がでないようにリハビリメニューを作成し、自宅での生活を可能にするためのリハビリを行います。リハビリメニューを考える際には、実際に自宅を訪問して自宅の環境を確認のうえ、自宅での生活に合わせたメニューを考案するといったことも仕事の一環です。

医療外付け型
Ⅱ型よりも自由に生活できる高齢者を対象とした、有料老人ホームに医療機関を併設したような施設を想定。2018年4月から新しく介護サービスとして考案された施設になります。ここでのリハビリテーションは機能維持を目的としたものが主流で、主に介護認定を受けている人向けにリハビリテーションをおこなうことになります。理学療法士の仕事でもありますが、介護福祉士や社会福祉士と一緒に仕事をすることもあります。

 

介護関連施設

現在の理学療法士の就職先として一番多いのは病院ですが、これからの日本の高齢化社会において、間違いなく増えていくであろう理学療法士のフィールドが、介護関連施設になります。
実際の介護関連施設について、平成15年の全国厚生労働関係部局長会議資料・8 介護関連施設の整備・運営についてに定義されています。
基本的に住宅地から離れた場所ではなく、都市計画の区分などを考慮して、近隣住民への説明などをおこないながら理解を得たうえで、利用者のニーズを考えながら作られる施設として以下の4種類が規定されています。
それぞれに規定された介護施設の種類と、そこで求められる理学療法士の仕事内容について紹介します。

 

特別養護老人ホーム

常に介護が必要な状態ではあるが、在宅での介護が難しいといった高齢者を受け入れるための施設。入所した高齢者が出来る限り在宅に近い状態で生活できるように整備されています。2002年に改正された設置運営基準によって、従来の特別養護老人ホームの中でも、若干費用がかかる小規模生活単位型特養では基本的に個室が用意されるようになりました。

特別養護老人ホームでの理学療法士の仕事は、より長く自立した生活ができるよう、維持をすることになります。特別養護老人ホームの場合、高齢者が生活をする施設であるという点から考えても、リハビリテーションが生活の主軸にあるわけではないので、施設内全体の高齢者数に対して理学療法士の数は少ない傾向があります。

 

介護老人保健施設

リハビリや医療的なケアを必要とする、要介護認定を受けている高齢者を受け入れる施設です。食事などの介護は受けられますが、主な目的は自宅に戻って生活するためのリハビリをおこなうことにあります。生活するために入所する特別養護老人ホームに比べると、自宅に戻ることを目的としているため、在所期間がだいたい3か月~6か月と限られた期間になるという違いがあります。

リハビリを行うことが主目的になる施設なので、理学療法士の必要性の高い職場になります。仕事内容としては回復期病院に近い内容になり、ベットからの起き上がりの訓練や、いすからの立ち上がり訓練・歩行訓練・車いすの使い方など、日常生活を送るうえで必要になる動きを中心にしたリハビリをおこないます。

退所が近くなると自宅を訪問し、自宅で生活するための問題点の確認や、手すりなどの必要性などの確認をおこない、家族などにアドバイスをするのも理学療法士の仕事になります。

 

認知症高齢者グループホーム

ある程度自力で身の回りのことができ、比較的に状態が安定している認知症の症状のある高齢者が、少人数のグループで共同生活するための施設。要支援2以上の高齢者が対象で、専門スタッフが常駐し、入浴や食事など日常生活に必要な活動のサポートを行います。入居者の家族とスタッフは定期的に話し合いの場を持ち、入居者ができるだけ心地よく過ごせるよう工夫されています。

ここで理学療法士に求められるリハビリでは、身体を動かすことによって脳を活性化させ、認知症の進行を遅らせるという目的もあります。

この場合、指先などを使う動きで脳の働きを活性化する必要もあり、作業療法士と連携してリハビリを行うことも。認知症の進行を抑制し、健康に過ごせる時間を長くできるようなリハビリが求められる職場であり、これからの日本の高齢化社会において需要の高まる就職先であるといえます。

 

ケアハウス

ケアハウスには一般型介護型の2種類があります。
一般型(自立型)は身の回りのことはご自身でできることや、他の人との共同生活が可能なことなどの基本的な条件が施設によって定められています。

一般型の場合は、自立できていないと判断されると退所を求められる場合があります。
介護型は要介護1以上などの条件があり、一般型に比べて介護に対して手厚いという特長があります。介護型の場合は要介護の程度が上がっても退去を求められる心配はまずありません。

どちらにも共通していえることは、ケアハウスにはリハビリ施設が併設されているケースは少ないようです。一般型のケアハウスにリハビリ施設が併設されている場合には、現状を維持し、より長く自力で日常生活を送れるようなリハビリをおこなうことが目的になります。

 

教育関連施設

理学療法士の養成施設の拡充に伴って、理学療法士の養成施設で理学療法士を育てる教員の需要も増えています。理学療法士の免許取得から、5年以上の理学療法士としての業務実績を積むことによって「臨床実習指導者」として臨床実習の指導が可能になります。

このようにして理学療法士として働きながら、新しい理学療法士誕生のために教育機関で働くことも、理学療法士の働き方の1つの選択肢になりつつあります。

実際には理学療法士の職場の70%で臨床実習の受け入れを行っており、業務を行っている理学療法士の40%以上が臨床実習指導者として実習生の指導を行っているというデータ(※2)もあります。
※2・理学療法士実態報告・2010年1月実施

また大学院や特別支援学校などで教える仕事に就く理学療法士も増えています。
特別支援学校では、発育・発達の専門家として・教育的なリハビリの支援者として・教員として、といったさまざまな立場から理学療法士に対するニーズ(※3)があります。
※3・理学療法士が特別支援学校で働くために(公益社団法人 理学療法士協会)
特別支援学校で働くためには教員免許が必要になりますが、一般的な教員免許とは別に、以下の免許状を取得する事で教員となることが可能になります。

特別免許状
教員免許状を持っていないが、優れた知識経験などを有する社会人などを教員として迎え入れることを目的に、都道府県が授与する免許状
自立活動教諭免許(肢体不自由)
大学などにおける通常の教員養成コースを歩んできたか否かを問わず、教員資格認定試験によって教員として必要な資質・能力を有すると認められた者に、与えられる免許状

教員資格認定試験は、理学療法士の免許を取得している者に免除科目があるため、他の方法(※3)と比較すると最も取得しやすい
※3・理学療法士が特別支援学校で働くために(公益社団法人 理学療法士協会)

このようにハードルはあるものの、理学療法士を必要としている教育関連施設は確実にあります。
今後まだまだ理学療法士のフィールドとして、広がっていく就職先といえるでしょう。

 

児童福祉施設

生まれつきや事故やケガ・病気によって運動機能に障害を持った子どもに、機能回復のためのリハビリテーションを行う理学療法士のニーズも増えています。子どもにとって、これから先の長い時間を少しでも障がいを軽くして、生活しやすくすることはとても大切なことです。

しかし子どもに対して行うリハビリテーションは、大人に対して行うよりも大変なことも多く、思うようにリハビリが進まないケースも少なくないようです。

思ったように言うことを聞いてくれず、リハビリが進まないこともよくあります。だからといって叱りつけたり怖がらせるようなことをしては逆効果になってしまうので、子どものリハビリをしたくないという気持ちにできるだけ寄り添い、少しでもリハビリを進めて行く必要があります。そういった面では実際のリハビリ以外に気を遣うことが増えるともいえるでしょう。

ほかのリハビリ施設とは違う苦労が伴う可能性はありますが、子どもに寄り添うことで子どもの動きが良くなったり歩けなかった子どもが歩けるようになったりと、子どもの人生によい貢献ができたときの喜びや達成感は、ほかの仕事ではなかなか感じられないものがあるでしょう。このように児童福祉施設では、医師や児童福祉員や親と連携してリハビリを行える理学療法士が必要とされています。

障がい者関連施設

障がい児の支援を行う事業所や、障がい者の就労支援施設などでのリハビリを行う理学療法士もいます。日常生活をより快適に過ごせるようなリハビリをおこなったり、就労するための準備としてのリハビリを行ったりするケースもあります。それぞれの目的に合ったリハビリメニューを組んでリハビリを進めていく事が必要です。

しかしなかなか理学療法士の数が行き届かない現状もあり、これからも理学療法士の必要性の高いフィールドといえます。

 

スポーツ関連分野

近年ではスポーツ理学療法(※4)という概念もできるほど、スポーツと理学療法とは近いものになってきています。
※4・日本スポーツ理学療法学会・概要

理学療法士はいわば身体の動きのスペシャリストですから、スポーツという形で身体を動かすことについてのケガの予防や、ケガをしてしまってから回復するための知識は豊富に持っているということです。その知識・スキルを活かして、スポーツを行う全ての人のコンディショニングや、ケガの予防・ケガからの復帰はもちろん、各競技の技術の向上など、スポーツにかかわる幅広い分野での活動が求められています。

スポーツジムなどのほかにも、プロスポーツの世界でもそのニーズは高まっています。プロチームの遠征などに帯同し、コンディショニングやケガの予防などに尽力することで、チームの成績に貢献できる理学療法士の重要性が認められ始めています。スポーツ関連分野で仕事がしたいと希望する理学療法士の中には、理学療法士の資格のほかにスポーツ関連の資格を取るなど、前向きに行動することで夢を叶えている人もいます。

<関連リンク>
理学療法士がスポーツ業界で活躍するために必要なことを紹介!

 

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理学療法士国家試験の正しい勉強法を知ろう

理学療法士国家試験の合格率は79.6%と比較的高い傾向にあります(令和4年度)。しかし、一度不合格になってからもう一度試験に挑戦する再受験者の合格率は37.4%ととても低いのはあまり知られていません。

なぜこんなにも合格率の差が大きいのでしょうか?

それは、試験に合格できない人は正しく効率的な勉強法があるのに知らないことが原因です。だから時間をかけて再受験をしたのに、再び試験に落ちてしまいます。

もともと学校の勉強が得意ではなかったり、新しい事を覚えるのに苦手意識はありませんか?そんなあなたは正しく効率的な勉強方法を知らない可能性が高いです。

だから、そのままの状態でせっかく理学療法士の目指せる大学に入って勉強をしても、合格できない可能性があります

もし国家試験に不合格になるとさまざまなデメリットがあります

 

デメリット1: 再び試験を受けられるのは1年後

理学療法士の試験は国家試験なので、実施は年間1回だけです。だから、つぎに試験に挑戦できるのは1年後です。

次の試験を迎えるまでの間勉強をする、国試浪人をしなくてはいけません。

 

デメリット2: 理学療法士の内定が取り消しになってしまう

せっかく卒業の内定を獲得していても、国家試験に落ちると内定が取り消しになってしまいます。

なぜなら、国家試験に合格しないと理学療法士として活動できないと法律で定められているからです。理学療法士としての採用であれば、試験に合格できなかった場合の内定が取り消しになっても仕方がないと言えますよね。

1年後の再試験まで病院でアルバイトとして働けないか?と考える人もいるでしょう。しかし、残念ながらそのような理学療法士にそのような制度を設けている病院はとてもレアケースです。

国試浪人になったら、その間の生活費を賄う必要がある人がほとんどですが、理学療法士とは関係無い飲食などのアルバイトで食いつなぐ浪人生が多いようです。

 

デメリット3: 勉強も就活も全部自分だけでやり直し

国試浪人すると勉強も就活もすべて自己責任になってしまいます。

現役の学生なら毎日勉強できる環境があります。一緒に勉強する仲間がいるし、いつでも先生に質問ができます。

しかし浪人生はどうでしょうか?学校には通えないから、頼れるのは学校で買った教科書だけ。だれかに質問したくても出来ない環境です。

そして何よりもツラいのは、就活を自分でやらなくてはいけないことです。現役の学生であれば、在学中に内定した企業や病院に入社するのが普通です。

でも浪人生は、学校に紹介される求人を頼ることができません。自分で求人を探して応募し、内定まで自分の力で勝ち取る必要があるんです。

せっかく学校に高い学費を払ったのに、求人を紹介してもらえないのはもったいないですよね。

だからこそ、理学療法士の国家試験は絶対に現役合格したほうが良い!と言えます。

 

絶対に現役合格するための正しく効率的な勉強法を知る

勉強が苦手な人でも、正しく効率的な勉強法を知って理学療法士の国家試験は絶対に現役で合格しましょう。

そのためには、正しく効率的な勉強法を大学に入る前から知っておくのが理想です。

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これから理学療法士の勉強を始める人はこの攻略ガイドを読んで現役合格を目指してください。

攻略ガイドをもらう

 

 

・日本の高齢化社会において、理学療法士は必要性の高い職業である
・理学療法士の働くフィールドは広がっている
・理学療法士のほかに別の資格をとることで、より一層働くフィールドが広がっていく

<参考資料>
日本理学療法士協会・統計(公益社団法人 理学療法士協会)
全国厚生労働関係部局長会議資料・8 介護関連施設の整備・運営について(厚生労働省)
理学療法士実態報告・2010年1月実施(公益社団法人 理学療法士協会)
理学療法士が特別支援学校で働くために(公益社団法人 理学療法士協会)
日本スポーツ理学療法学会・概要(日本スポーツ理学療法学会)

<関連リンク>
理学療法士がスポーツ業界で活躍するために必要なことを紹介!
理学療法士の転職事情・転職理由と転職先の選び方

PR トレーナー求人情報

※掲載店舗は、一部のみです。ご了承ください

YUMI

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YUMI

某情報誌とサイトの編集者として15年以上勤務し、自身も編集者時代からダイエットとリバウンドを繰り返した経験を持つエディター兼ライター。現在はダイエット関連の記事を400本以上担当しつつ、3児の母として日々育児に奮闘している。

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